空は太初の青さ妻より林檎うく

 
 6日が二十四節気のひとつ小寒
 寒に入って一年じゅうで今が寒さがもっとも厳しい時期なのですが、街路樹のハクモクレンに春の気配を感じました。落葉樹なので葉は落ちていて、青空へ向かって枝の先につぼみが、もうふくらみ始めていました。
 つぼみの表面はビロードのように滑らかな毛で包まれています。

 モクレン科の落葉高木。三月ごろ、香りのある白い大きな六弁花を開く。萼(がく)は三枚あり、花びら状。葉は倒卵形。中国原産で、庭木とする。玉蘭、白蓮(はくれん・びゃくれん)。『大辞泉

 中村草田男句集「来し方行方」の昭和二十一年の俳句に、「居所を失ふところとなり、勤先きの学校の寮の一室に家族と共に生活す。」の前書きにつづいて、三句を詠んでいます。

「空は太初の青さ妻より林檎うく」 
「斯かりし母よ育児の妻よ風の柘榴」 
「寒の曉(あけ)ツイーンツイーンと子の寝息」