映画『シコふんじゃった。』とジャン・コクトー

 9月から10月にかけて、広島市出身の映画美術監督・部谷京子さんの特集を開催します。部谷さんは「シコふんじゃった。」で美術監督としてデビューし、周防正行をはじめ、滝田洋二郎根岸吉太郎廣木隆一河瀬直美原田真人吉田喜重など、名だたる監督の作品の映画美術を手がけ、「Shall we ダンス?」と「それでもボクはやってない」で日本アカデミー賞最優秀美術賞に輝いています。日本映画界のトップランナーの一人、部谷さんの作品を振り返ります。(9月パンフレットより)
 4日、「特集・映画美術監督 部谷京子」の最初の一本、周防正行監督の映画『シコふんじゃった。』(1992年、大映、キャビン、103分、カラー)を映像文化ライブラリーで鑑賞する。

 出演は、本木雅弘清水美砂柄本明竹中直人田口浩正

 教立大学の相撲部は負け続けて廃部寸前の状態。大学4年の秋平は、試合に出場するための助っ人として相撲部に入ったはずだったが、しだいに相撲にのめり込んでいく・・・。弱小相撲部の奮闘ぶりをコミカルに描いた青春コメディ。

 冒頭、ジャン・コクトー堀口大學訳の相撲観戦の詩のような言葉を相撲部の顧問の教授役の柄本明が暗唱するのだった。これには驚いた。
 7月に「ジャン・コクトー特集」があって、ジャン・コクトー監督『詩人の血』(1930年)、ジャン=ピエール・メルヴィル監督『恐るべき子供たち』(1949年)を観たばかりだったので、相撲とジャン・コクトーというつながりに。
 竹中直人が演じる主将、土俵の上で試合になると緊張して下痢をしトイレに行きたくなるのだが、その竹中直人の滑稽なしぐさに何度も笑った。館内もくすくす笑い声がつづく。