映画『猛進ロイド』

 およそ100年前の映画館には楽士がいて、映画にあわせて伴奏していました。小さな映画館ではピアニスト、大きなホールではオーケストラの伴奏付きで映画は上映されていました。映画館では映画と音楽の2つの楽しみを味わうことができたのです。音楽の伴奏で映画がより輝きをまします。 
 ジャッキー・チェンにも受け継がれた名アクション!
 サイレント映画を生演奏でお楽しみいただく「サイレント・アンド・サイレント」。
 今回はチャップリンキートンと共に世界三大喜劇王のひとりと言われる、ハロルド・ロイドの傑作ラブ・コメディー「猛進ロイド」をご覧いただきます。 
 車や電車などを使った、息をも尽かせぬアクション・シーンを、吉清彩香さんのピアノとともにご堪能ください。 (パンフレットより)

 
 フレッド・ニューメイヤーサム・テイラー監督の映画『猛進ロイド』(1924年、アメリカ、80分、白黒、無声、作品提供/マツダ映画社)を映像文化ライブラリーで、ピアノ伴奏で観る。原題はGirl Shy。
 上映前に、「猛進ロイド」の見所とサイレント映画について、学芸員より解説がある。

 出演、ハロルド・ロイドジョビナ・ラルストン、リチャード・ダニエルズ、カールトン・グリフィン。
 

内気で女性と話すことが苦手な青年ハロルドは、仕事の合間に女性に対する研究を行い、一冊の本を書き上げた。原稿を携え出版社へと向かう汽車の中で、運命の女性メアリーと親しくなるが、恋の行方はいかなることに・・・。

 アメリカの都会を舞台にした映画。 
 仕立て屋に勤める青年ハロルドは、出版社へ原稿を携えて行くために汽車に乗った際に、犬を隠して乗ったメアリー(ジョビナ・ラルストン)と犬が縁で親しくなった。再会を約束して別れた。
 メアリーは大金持ちの令嬢で、ある日のこと、メアリーが婚約者と二人で乗っていた車が動かなくなった。迎えが来るまでの散歩をしていたメアリーは、近くの池のボートで一人夢想に浸っていたハロイドと再会をし、意気投合した二人だったが・・・。
 メアリーが結婚式を婚約者と挙げることになるのだが、その相手の男が既婚者でメアリーを騙(だま)しているのを知ったハロルド。
 内気なハロルドだったが、俄然、結婚式を止めようと駆けつけるのだった。
 乗物を乗り継ぎながら超人的な猛進をする場面はハラハラドキドキの連続。
 その猛進ぶりは、車、オートバイ、路面電車、馬車などを乗り換え乗り換えしてひたすら突き進む。
 路面電車で市街を疾走する場面で、ハロルドが電車のパンタグラフの棒にぶら下っての空中回転。
 からだを張っての命がけの演技が凄い。
 馬二頭の馬車で猛烈な速度で駆けていると、馬車の車輪がひとつ車軸から外れる。
 ハロルドは馬車と二頭の馬を切り離して、馬車から馬へ走りながら乗り換えるという非常に危険な演技を軽々としている。
 ラスト、ハロルドは馬で駆けつけた教会の結婚式会場に乗り込んで花嫁姿のメアリーを奪って去って行く。
 アクションシーンが素晴らしく楽しめた。
 ロイドと共演しているメアリー役のジョビナ・ラルストンが魅力的でロイドと初々しくロマンスを演じている。