円山応挙と大乗寺

バーク・コレクション展

 夕方、西の空にひつじ雲が一面に広がっていた。南東の方には月が昇っていた。
 アオサギが川に泊めてある小型の船をつなぎとめる浮きに、一羽がちょこんと乗っていた。夕暮れ時にアオサギがそうした浮きなどの上にたたずんでいるのをよく見る。先日から見かけた鵜は、正午過ぎには見かけなかった。

 ニューヨーク在住のメアリー・バーク夫人が、夫とともに半世紀近い年月をかけて収集した日本美術のコレクションから、初里帰りの作品を含む110点を展示した展覧会。
 「ニューヨーク・バーク・コレクション展」で、屏風絵で鳥を描いている円山応挙の鳥、なんと生き生きしていることか。ススキに似ていて水辺にはえている葦(あし)、そのそばに飛び立ったばかりの鳥が動きのある画面で、屏風全体の空間の間(ま)の取り方が絶妙だった。
 円山応挙といえば、兵庫県日本海に面した香住にある大乗寺かな。香住の港から内陸部へ向かって行く。部屋のふすまに描かれた絵が素晴らしい。鯉など、本当に生き生きしている。それから、だまし絵を描いていて不思議な感じを起こさせる。このお寺は円山応挙とお弟子さんのいわば美術館といえるなあ。絵に遊びがある。ユーモアのある絵といえばいいか。田園の中のお寺、大乗寺。バス停が寺の前にある。
 長沢蘆雪もこの大乗寺のふすま絵制作に弟子として参加している。この師ありてこの弟子ありか。
 
 安原顯の『やっぱり本は面白い』1997年刊(ジャパン・ミックス)という本で「パソコン時代と文学」と「文学賞の乱立と偽の文運隆盛」の二つを読む。うん、うん。とうなずくところあり。オモシロイ。