種村季弘の『雨の日はソファで散歩』

アオサギ

 橋を渡っていると、遠くの砂州のような砂地に水鳥が群れて点々と散らばっていた。近寄って確認してみようと歩を進めた。すると、川岸の直ぐ下に名前の知らないシギの仲間らしい一羽の鳥がいた。その鳥を見ていたら、こちらの気配を察してか、すばやく羽を拡げて飛び去っていった。その地点から右手に目を向けると、橋の下の浅瀬にアオサギらしき鳥がいる。水の中をひょいひょいと歩きまわっていた。
 朝日新聞に連載中の小沢信男の「俳句が楽しい」、その3を読んだ。「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」のつづきを書いている。大田道潅、服部嵐雪らの一首や一句を引いて「先人のすぐれた詩文にいかに呼応するかが、芭蕉このかた俳諧の一王道であった。」と言う。けれども久保田万太郎は一風ちがうとして、その大ちがいの訳を述べていた。うーん。おみごと。
 『ラパン』2002年冬号を読み始める。「本」と「地図」で机上旅行の達人になる、と表紙にあるように地図の会社が発行している雑誌だ。今は休刊しているらしい。
 特集は[書斎旅行術]入門。目次を見ると、荒俣宏の「アームチェア・トラベラー協会設立宣言」、種村季弘の「雨の日はソファで散歩[銀座編]」などがある。

 雨が降っている。外へ出るのが億劫だ。車もない。あっても運転できない。こんなときにはソファに寝ころがって、行きたい町に本の上でつきあわしてもらうのが分相応というものだ。ではどこへ行くか。今回はひとつ張りこんで、銀座といこう。  『ラパン』25頁

 うーむ。いいね。ゆっくり読んでみよう。味わってみよう。