奥野良之助の『金沢城のヒキガエル』

 平凡社の新刊にサン=テグジュペリの『星の王子さま』、訳=稲垣直樹。それと、奥野良之助の『金沢城ヒキガエル』、解説=紀田順一郎。どちらも、平凡社ライブラリーの一冊だ。
 『金沢城ヒキガエル』は、どうぶつ社から出ていた本が長らく絶版になっていたので、嬉しい出来事である。解説が紀田順一郎なので、どういう風に解説しているか楽しみだ。
 奥野良之助の『さかな陸に上る』(創元社)も、『金沢城ヒキガエル』を読んで関心を持たれたら、ページを開かれると目から鱗(うろこ)かもしれない。
 この奥野良之助の『さかな陸に上る』を読んでいると、派生的に多田道太郎の著作で取り上げられている「なんば歩き」を連想する。それと、さかなの脊椎とわれわれの脊椎の進化上の連続性に思い至る。そのあたりを奥野良之助の本を読んでいると、じんわり味わえる。
 平凡社では、平岡正明の『昭和ジャズ喫茶伝説』と半藤一利の『昭和史 1926−1945』に注目する。