橋なくて日暮んとする春の水

アオサギ

 川を渡っていると、岸辺の水をたたえた辺りにヒドリガモの群れがいた。渡り鳥が棲みついているのだ。夕方、橋の上をカモメの群れが飛び越えて遠くへ去って行った。アオサギは、ずっと浅瀬に一羽でいる。
 蕪村の句に、「橋なくて日暮んとする春の水」。安永四年の句である。
 『サンデー毎日』で中野翠の「満月雑記帳」を読む。今週号の後半は、先日の池田晶子さんの死をめぐってであった。二年前に同じ四十六歳で亡くなられた杉浦日向子さんの「思い」にもふれている。中野さんの痛切な思いが伝わって来る。生前の池田晶子さんとは面識がなかったそうだが・・・。
 十八日の朝日の日曜版の「国家よ㊦ 働くこと生きること」で、「勝負よりも真の誇り」と題した織井優佳さんの文を読んだ。昨年の梅雨の頃だったか、『金沢城ヒキガエル』をめぐって、この著者の奥野良之助氏へ、織井さんが取材した文に注目したことがあった。*1
 新古書店古本市場で三冊購入。各一〇五円。
 嵐山光三郎『日本詣で』2001年(集英社)。
 加藤秀俊『取材学』1992年24版(中公新書)。
 江國滋『阿呆旅行』1984年(新潮文庫)。