ロダーリの『猫とともに去りぬ』

ドングリ

 秋晴れの天気。日差しが強くてまだ暑い。街路樹の葉が枯れたようになっていて、台風に痛めつけられた傷痕のようだ。
 落下したドングリが、コナラの木の下に散らばっているのが目につく。
 書店に寄り道する。光文社古典新訳文庫が創刊されていた。文庫のカバー装画は望月通陽。新訳文庫から二冊買った。ロダーリの文庫の帯に、訳者から〈イタリア20世紀文学の古典ロダーリの短編には、知的なファンタジーと言葉遊び、現実社会へのアイロニーが見事に織りなされています。高尚な笑いをお楽しみください。(訳者)〉とある。
 ケストナー飛ぶ教室』(丘沢静也・訳)*1
 ロダーリ『猫とともに去りぬ』(関口英子・訳)*2  
 『青春と読書』と『新刊展望』2006年10月号をもらう。
 『青春と読書』で、茂木健一郎の連載「欲望する脳」〈⑱アクション映画とサンゴの卵〉という題の文を読む。うーん。面白い話が展開されている。

 この世は、ヒーローが必ず勝つアクション映画と、サンゴの卵が海に放出されて、淘汰されていくプロセスと、一体どちらに似ているか? アクション映画の文法を心置きなく楽しめるかどうかの分水嶺は、このあたりの世界認識に依存しているのではないか。アクション映画の主人公は実はサンゴの卵だ、と思った瞬間に、様々なことが揺らいでいく。戦場に身をさらす一兵卒と、安全な場所から指揮をとる将軍の見る世界は違うのである。  69頁

 他に、アーサー・ビナード和田誠の対談を読んだ。〈ベン・シャーンが描いた「第五福竜丸事件」〉というタイトルの対談。サッコとバンゼッティ事件をベン・シャーンが連作で描いているんだなあ。