映画『硫黄島からの手紙』

渡り鳥

 橋を渡っていると、岸辺に近い水面に鳥が群れていた。大きさや羽の様子から渡り鳥のヒドリガモかな。一部は岸辺にも上陸している。春先に突然に北へ飛び去って行った鳥たちが戻って来たのだ。

カモ科の鳥。全長四八センチくらい。雄は頭部が赤茶色で額が黄白色、胸がぶどう色、背と側面が灰色。雌は全体に褐色。ユーラシア北部で繁殖。日本では冬鳥で、港湾・湖沼でみられ、雄はピューと笛のような声で鳴く。あかがしら。  『大辞泉

 クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』をスカラ座で観る。公開三日目の最終上映時間で。字幕翻訳は戸田奈津子さんだった。字幕があるけど、全編日本語のアメリカ映画というのは珍しい。
 栗林忠道中将(渡辺謙)が飛行機で空から硫黄島へ赴任のために舞い降りる。赴任してから島内を歩き回り、地形を調べ米軍の上陸が予想される砂浜での陣地構築を放棄し、地下に潜っての持久戦に作戦を決めていく。
 その栗林中将の最後までを、大宮のパン屋をやっていた西郷(二宮和也)という兵隊が、見届けるという結果になるのだが、ある意味でこの西郷という兵隊の目で硫黄島の戦いを、クリント・イーストウッドは見せてくれた。戦場となった硫黄島をうろうろと逃げ回っていただけの西郷という兵隊は、この映画では重要な役回りになるのだった。二宮和也が好演している。思わず涙が・・・という場面が何度もあった。
 ロサンゼルス・オリンピックでの馬術競技での勝者、西戦車隊の西竹一中佐(伊原剛志)も好演。
 『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の二本の映画を一度に作ってしまうクリント・イーストウッド監督には脱帽だ。