安岡章太郎の『僕の昭和史Ⅲ』

白梅

 通りすがりの畑に梅が咲いている。白梅だ。鳥が枝の密集した辺りに一羽見え隠れする。蕪村の明和八年(1771年)の句に、

風鳥(ふうてう)のくらひこぼしや梅のかぜ
鶯の枝ふみはづすはつねかな

 「鶯の枝」は明和六年一月二七日の句。
 安岡章太郎の『僕の昭和史Ⅲ』で、『ソビエト感情旅行』と重なるところを読む。うーむ。なるほどね。
 ソ連旅行の帰りにパリに出て、七月の終わりから十月のはじめまでフランスにいた話も興味深い。開高健に教えられたホテルに泊まっていたという。