海野弘の『日本図書館紀行』

桃の花

 晴れて気温があがる。通りすがりの家から桜の花が咲いているのが見えた。近づいて見ると桜ではなくて、いっせいに花開いた桃の花だった。ほんのりいい香りがする。

バラ科の落葉小高木。葉は細長くて先がとばり、縁に細かいぎざぎざがある。四月ごろ葉より早く、淡紅色のほか白や濃紅色の五弁花を開く。夏に球形の肉厚多汁の実がなり、食用。種子は漢方で桃仁といい薬用。中国の原産。日本では古くから果樹または花木として栽培され、品種が多い。  『大辞泉

 蕪村の句に、「さくらより桃にしたしき小家哉」。
 映像文化ライブラリーで12日から20日まで「オタール・イオセリアーニ特集 イオセリアーニに乾杯!」を上映しているが、見逃していた。19日の「群盗、第七章」(1996年・122分、カラー)と20日の「月曜日に乾杯!」(2002年・127分、カラー)の二本は見れればいいんだが・・・。
 今まで上映された作品。
 12日、「四月」1962−2000年(復元版)・48分、白黒。
 13日、「歌うつぐみがおりました」1970年・82分、白黒。
 14日、「蝶採り」1992年・118分、カラー。
 15日、「素敵な歌と舟はゆく」1999年・117分、カラー。
 
 ブックオフの新しい店で、海野弘の『日本図書館紀行』1995年(マガジンハウス)を買う。
 あとがきに、

 地方に旅すると、私は図書館に寄る。すると思いがけない人の本が並んでいて、ああこの人はこの土地の出身なのか、と知って、親しみがわいてくる。いくつもの図書館をまわると、街によってさまざまなちがいが見えてくるようになった。
 やがて、図書館を旅してみたいと思うようになった。美術館紀行はあるのに、図書館紀行はない。しかし、美術館より図書館の方がずっと、その街に密着しているのだ。図書館に行くと、その街がどんなところかわかる。もちろん郷土資料によって街についての情報がわかるが、それだけではない。図書館にやってくる街の人たちとそれに応対する館員の様子が、その街の文化を語ってくれるのである。
 というわけで、図書館の旅に出発した。  231ページ