夏祭り

御座舟

 夜、夏祭りに出かける。午後九時前から待っていると、午後九時半過ぎになって御座舟が漕ぎ伝馬船に引かれて海から港に入って来た。
 港にある社に寄って神事を終えると、御座舟は港の中を伝馬船によって回りながら迎え火のある岸の桟橋に接岸した。
 この岸で木材をくべて三ヶ所で篝火(迎え火)を燃やし続けている(一ヶ所は海上の舟の上で)。
 ちょうど潮は満潮の時刻である。ここで、宮司が御座舟の上での神事を行う。祭が最高潮を迎えた瞬間だ。
 御座舟には背の高い竹が立てられている。
 迎え火の煙りと火の粉が夜空に舞っている。見物人の人だかりで高潮の防波堤コンクリートの壁に取り囲まれた湾の内側は埋め尽くされた。
 港の周囲に、夜店が店を並べている。焼きイカや飲物を手にした大人や子供が歩き回っている。
 甥が漕ぎ伝馬船に乗っているんだと言う老人からカップに入った氷の浮かんでいる飲料を手渡されたので、こぼさないように持ったまま見物する。冷たい。しかし、迎え火が熱い。
 衆議院選挙の立候補者が来ていた。握手をしたという人の声がする。うーむ。
 昔は、この神事の後に盆踊りが朝まで踊られていたんですよ。と、聞いた。