『マザー、サン』

マザー、サン

 「アレクサンドル・ソクーロフ監督特集」の一本、『マザー、サン』(1997年、ドイツ、ロシア、73分、カラー)を観に寄る。
 出演はガドラン・ゲイヤー、アレクセイ・アナニシノフ。
 6月プログラムより引用。

人里離れた森の中に年老いた母と息子が住んでいる。病に倒れ、間もなく訪れる死を自覚する母は、自身の半生を語り始める・・・。母と息子、2人の登場人物とシンプルな物語を通して、絵画的な構図の中に普遍的な愛を描く。

 
 登場人物が二人だけで、息子が母を介護し見守る姿を穏やかに物静かに描く。
 散歩に出たいという母の希望で、息子は母を抱えて散歩に出かける。
 樹木に花が咲いている。木々の梢が風に吹かれ、葉が風にゆれて出す音、外気にふれ横たわる母、散歩から戻り再びベッドに横になり休む。
 ラスト近くの印象的な映像で、母の指にモンシロチョウがとまっているシーンがある。
 蝶は翅をゆっくりと動かし飛び去りはしないで、指と指の間にぴったりくっついている。
 ラストの海のような大海にヨットが小さく浮かぶシーンがあるが、バイカル湖ではないかしら。