ホセ・ルイス・ゲリン監督の映画『ゲスト』

 「ホセ・ルイス・ゲリン映画祭」で上映されたうちの一本。
 ホセ・ルイス・ゲリン監督の映画『ゲスト』(2010年、スペイン、133分、白黒)を観た。
 映画祭パンフレットより。

 世界中の映画祭に招待された「シルビアのいる街で」。映画と共に数多くの国々を訪れたゲリンは、自ら小型のデジタルカメラを抱え次回作の構想をねりながら、行く先々の人々や都市の光景を撮影。映画祭の喧騒をあえて撮らず、街で暮らす人たちの懐に飛び込み、彼らの生々しい存在感を写しとった映像は、ドキュメンタリー映画を数多く手がけたゲリンならでは。クールなモノクロ画面に都会の孤独と憂愁が滲む。

 イタリアのベネチアキューバハバナ、香港、マカオ、南米のペルーのリマなどを訪れたゲリン監督が街角で出会った人々の住まいを訪ねて、彼らの声を語るにまかせ撮影している。
 カレンダーの日付とその日の撮影した映像が坦々(たんたん)と記録されている。
 映画祭で訪れた都市で知り合った住民の家を訪問し、彼らの日常の一部を切り取るかのように撮影している。
 撮影され、作品として編集されたのが、2007年9月から2008年9月までの一年間の旅の空で撮影された映像だ。
 キューバハバナの住宅難の住宅事情が目を引く。
 アメリカからの送金が途絶えて生活苦を嘆く者、学費と医療費が無料をほめたたえる者、電気、水道の設備の老朽化の事情などハバナの住民の姿が印象深い。
 マカオ、ペルーの都市の片隅に生きる住民の家に飛び込み、彼らの日々の暮らしぶりを映像で伝えている。
 この作品は、ジョナス・メカスの日記映画(diary films)の影響があるのでは・・・。