阿部豊監督の映画『細雪』

細雪

 4月は女性が主人公であったり、重要な役割を占める作品が、「特集・文芸映画のヒロインたち」と題して映像文化ライブラリーで上映された。その中の一本。
 阿部豊監督の映画『細雪』(1950年、新東宝、白黒、141分)を鑑賞。
 昭和25年5月公開映画。キネマ旬報ベスト・テン第9位。

 出演は高峰秀子、花井蘭子、轟夕起子、山根寿子、伊志井寛田中春男田崎潤河津清三郎浦辺粂子、藤田進、香川京子、鳥羽陽之助。
 脚色・八住利雄。 音楽・早坂文雄

 

文豪・谷崎潤一郎のライフワークともいえる長編小説の映画化。関西の名家・蒔岡家の四姉妹そのそれぞれの生き方を、華麗なキャストで描いた大作。この作品では、高峰秀子扮する四女・妙子に焦点を合わせている。  (4月プログラムより。)

 大阪の船場の旧家の蒔岡家の四姉妹をめぐる谷崎潤一郎の長編小説『細雪』を映画化している。 
 長女鶴子を花井蘭子、次女幸子を轟夕起子、三女雪子を山根寿子、四女妙子を高峰秀子が演じる。
 蒔岡家の四姉妹のうち未婚の二人、三女の雪子は三十過ぎて縁談がまとまらず独身で、次女の幸子夫婦の家に居候している。
 幸子夫婦は雪子のために奔走しているのだが、縁談が雪子が内向的でなかなかまとまらない。 
 四女妙子は、雪子と対照的に外向的でこれまた昔の恋人、啓坊(田中春男)という貴金属商奥畑のボンボンにいまでも付きまとわれて腐れ縁が切れない。だが(昭和十三年の)阪神を襲った大水害で奥畑家へ出入りしていた板倉(田崎潤)という写真家に命を救われて、自分を助けに来てくれなかった啓坊に愛想をつかし、板倉との結婚を決めたが、突然に板倉が急死するのだった。妙子の男性遍歴は終わらず、バーテンダーと同棲するのだったが・・・。
 妙子役の高峰秀子が美しい。衣笠貞之助監督の映画『或る夜の殿様』(1946年、東宝、112分、白黒)での高峰秀子を思い出させた。