女優・大河百々代と大山デブ子のこと

大都映画『争闘阿修羅街』

 3月に映像文化ライブラリーで開催された映像と音楽の共演「サウンド・アンド・サイレント」という上映会でサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんの演奏で、八代毅監督の1938年の大都映画『争闘阿修羅街』(36分、白黒、無声)を観ました。昭和13年の公開作品です。
 
 出演は、ハヤブサ・ヒデト、大河百々代、大岡怪童、高村栄一、大山デブ子で、監督の八代毅はハヤブサ・ヒデトの監督名です。
 発明家の新発明の特種を求めて追いかける新聞記者をハヤブサ・ヒデト、相棒のカメラマンのデブ山を大岡怪童が演じる。
 発明家の令嬢が大河百々代で、令嬢の別荘の女中が大山デブ子です。
 ヒロイン役の大河百々代のファッションが洋装で、そのファッションが小津安二郎の映画『朗らかに歩め』(1930年、松竹蒲田、96分、白黒、無声)に出演の伊達里子を思わせるところがあります。
 大都映画について調べると、本庄慧一郎著『幻のB級!大都映画がゆく』に、大都映画の女優で大河百々代の出演した作品に吉村操・白井戦太郎監督の『地平線』(1939年)があり、当時モンゴルにロケをした大作で、大河百々代が駱駝から落ちたというエピソードと、翌年の末に若くして18歳で病没されたそうです。
 『争闘阿修羅街』(1938年)での女優・大河百々代の映像は、貴重なものだと思えます。

 この大都映画『争闘阿修羅街』に脇役の女中で大山デブ子が出演しているのですが、佐藤忠男著『喜劇映画論』に女の喜劇人についてで、大山デブ子を採り上げています。
 その分析が興味深いものでした。

喜劇映画論 チャップリンから北野武まで

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