「美術の窓」3月号に連載の野見山暁治の「 アトリエ日記」を読む。
巻頭特集は「福沢一郎 反骨とユーモア」。
《3月12日から東京国立近代美術館で開催される「福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ」をはじめ、各地で福沢作品を紹介する展覧会が催される今、変わりゆく日本を鋭く見つめ続けた画家のまなざしに迫ります。》
参照:https://www.tomosha.com/mado/9443
2018年の読書アンケートがあれば、野見山暁治の『みんな忘れた』(平凡社)と 『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』(小学館)をまず挙げたい。
『みんな忘れた』は、猪熊弦一郎、加島祥造、秋野不矩、小川国夫といった人との交流録で、淡々と辛らつな文章で人物像が記されている。時と場所の思い出が自由自在に綴られた文章をじっくり味わいたい。
「ご近所のスター」と題した、猪熊弦一郎との交流録も印象に残る。
藤田嗣治が戦争画を描いていた頃の野見山さんの思い出もゴシップ的話なのだが、嫌味ではないのはさすがだ。
参照:https://www.bookbang.jp/review/article/555123
『猪熊弦一郎のおもちゃ箱 やさしい線』には、昭和十七(1942)年にフィリピンに猪熊弦一郎が従軍画家として派遣された時に描いた絵がある。
フィリピンといえば、阿部展也が画家としてではなく写真家として昭和十六年陸軍から徴用されてフィリピンへ派遣されている。戦時中はフィリピン日本軍報道部で活躍し、フィリピン映画女優と結婚し、敗戦で捕虜に。収容所のスケッチを描いている。