中学生わかし蛾族を花とみぬ

 夏日がつづき、曇り空で蒸し暑い。最高気温27℃。
 散歩の途中に道端にクローバーの白い花が一面に広がっていた。

 花と花の間を蜜蜂が飛び回っていた。近くに寄って眺める。人が近くにいてもほとんど反応せずそのまま蜜を探して飛び回っているのだった。蜜蜂はおとなしいですね。 

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 石田波郷の俳句に昆虫の展覧会を詠んだ句がある。
 昭和九年(1934年)に、「昆虫展覧会 八句」という前書きで、 

 「昆虫展並樹の青のかげ来ずや
 「うすばかげろふ並樹の青にあらざりき
 「中学生わかし蛾族を花とみぬ
 「花咲く蛾大きはなびら触れ合へり
 「兜虫漆黒なり吾汗ばめる
 「昆虫類あまねくみたり指をみる
 「昆虫界階段の口白く明りぬ
 「図譜買へば昆虫界に銭の音

 

 「中学生わかし蛾族を花とみぬ」は蛾を花びらに見立てた中学生を展覧会場で波郷が目にした光景だろうか。
 「図譜買へば昆虫界に銭の音」は波郷自身が展覧会の図譜(カタログ)を受け付けで購入したか、人々が我も我もと図譜を買う様子を詠んだものか。