2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『ラリーのスピーディ』と稲垣足穂

残暑がつづく。昼は、蝉しぐれである。夜になると虫の声が聞こえるようになった。 街路樹の棗(ナツメ)の実が鈴なりである。 冬の間に根元の周辺に肥料を埋めていたので、例年にくらべると実が大きい。 正岡子規の明治二十九年の句に、「行脚より帰れば棗(…

ちび助物語と四本指の謎

アニメーションで、活弁による瀬尾光世の『一寸法師 ちび助物語』をスクリーンで見ていて気づいたこと。 一寸法師ちび助がお椀の舟を漕いで都へ向かいます。 碇(いかり)を下ろしてお椀の舟から陸へ上がると、ジャックと豆の木のように空高く伸びている蔓の…

小津安二郎の映画『東京の合唱(コーラス)』

21日、小津安二郎監督の映画『東京の合唱(コーラス)』(1931年、松竹キネマ、90分、白黒、無声)を映像文化ライブラリーへ見に出かけた。活動弁士・佐々木亜希子さんの語りで観る。 『東京の合唱』の上映の前に、無声映画が三本が先行して上映され…

『メタフィジカル・クラブ』のこと

今月(8月)の新刊で、みすず書房からルイ・メナンド著『メタフィジカル・クラブ』が出た! メタフィジカル・クラブのことは、鶴見俊輔著『たまたま、この世界に生まれて』(編集グループSURE)での談話で、プラグマティズムをめぐり興味深かった箇所である…

秋立つやほろりと落ちし蝉の殻

東の空が明けゆく頃、吹く風が涼しい。 明けゆく空とともに、蝉が鳴き始めた。 お盆の入りに、夜クマゼミが家に飛来した。だが、どこかに消えてしまう。 翌朝、羽音で意外な場所にクマゼミがいるのを発見し、捕まえて、手にとって、間近に観察した。その後に…

「新・話の泉スペシャル」真夏の夜の夢編

8月8日が二十四節気のひとつ立秋であった。 立秋が過ぎてからの連日、猛暑日がつづく。 お盆で今夜は満月である。 夜、NHKラジオの番組で、「新・話の泉スペシャル」真夏の夜の夢編を聴いた。 出演は、山藤章二、毒蝮三太夫、ミッキー・カーチス、嵐山光三…

怪談学への誘い

寝苦しい夏の夜は怪談でも読んで、現代ばなれした気分を味わいたい。 と、笹川巌著『怠けの歳時記 知る遊ぶ休む』(実業之日本社)の「【七月】怪談」の冒頭にあるが、このなかで展開される「怪談学への誘い」と「書誌学的アプローチ」が実に興味深い。 幽霊…

セミフ・カプランオール監督の映画『蜂蜜』

セミフ・カプランオール監督・脚本の映画『蜂蜜』(2010年、トルコ・ドイツ、103分、カラー、原題:Bal)を、サロンシネマ2で観る。上映二日目。観客は30人ほど。 山深い森に父と母と三人で暮しているユスフは文字を学校で習い始めた6歳くらいの…

ジャック・ロジェのこと

午前五時、東の空は、朝焼けの色でほんのりと赤らむ。 木星が南の空に高く南中しているのが眺められた。 朝顔が、北寄りの風に吹かれてゆれている。 午後、街路樹のツバキの実が光り輝いていた。艶々している。 夕方、散ったハスの花は、花托(かたく)が膨…

絵本『赤いカヌーにのって』

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー著『コンコード川とメリマック川の一週間』が、昨年、而立書房から山口晃氏の翻訳で出版されました。 『コンコード川とメリマック川の一週間』での旅は、舟旅が一週間、登山が一週間と合計すると二週間の旅で、ヘンリーとその…