映画『ゆれる』と『ニュー・シネマ・パラダイス』

 荻上直子の映画『かもめ食堂』を観たときに、西川美和監督の『ゆれる』の予告篇を観たのだった。あの時は、観終わったあと、なぜかおにぎりを食べたくなった。九月二日から上映されているが、十月六日までなのでまだあると思っていたら、上映回数が減っているので今日見ることにした。
 最終上映時間なので、おはぎとよもぎおはぎで腹ごしらえしてから、シネツイン1で映画『ゆれる』を観た。観客は四十人くらい。
 事件のあとの兄と弟の心の葛藤、法廷での検察官と弁護人の鋭いやり取り、息を継がせない場面の連続で、兄弟、親子の愛憎や嫉妬といったことが痛切に深く描かれた心理劇映画だった。
 オダギリジョーが演じる弟が、子供のころの8ミリ映画を部屋で映写して観ているシーンがある。イタリア映画「ニュー・シネマ・パラダイス」になんとなく似たようなシーンがあったような気がした。
 あとで、シネツイン1でもらった「エンドマーク」9月号を読むと、

西川さんは高校時代に「ニュー・シネマ・パラダイス」をシネツインで見ているそうだ。この映画の主人公は故郷を出、のちに映画監督になっている。上映館としてはこれくらい感慨深いことはない。

 と、住岡正明支配人が「美妙」というコラムで書いている。なるほどね。