拝啓 漱石先生

 午後、NHKラジオのラジオ特集「拝啓 漱石先生〜没後90年〜」という番組を聴く。漱石が過ごした松山、熊本からの中継をまじえて、それとロンドン留学の話も話題にしながらのトーク番組。ゲストに緒川たまき森まゆみ夏目房之介嵐山光三郎茂木健一郎さんらが出演。
 漱石は俳句や落語と、いろいろな顔をもつ。低回趣味で、まわりのことを日常のことを書いていくのが得意だった。*1俳句を正岡子規に教わった。当時の文芸の主流からは仲間はずれになっていたと嵐山光三郎さんが話していた。それと、漱石の小説というのは最初の一行が、調子がよくて、すっと口に出る。
 森まゆみさんは、漱石の文体はリズムがあって、落語の切れのいい口語体をつくった、と。
 とりわけ、祖母の夏目鏡子さんを、そばで見ていた夏目房之介さんの話が興味深かった。悪妻論を覆すお話で・・・。あれこれ漱石をめぐる話があるが、身近な家族から眺めた漱石のエピソードが面白いなあ。
 
  

*1:低回趣味。夏目漱石が、反自然主義の立場から唱えた文学上の主張。自然主義があまりにも生活に密着しているのに対し、世俗をはなれてゆったりと、人生を傍観者の目で見ようとした。『角川必携国語辞典』