「新日曜美術館」を観る

黒田敬子展

 NHK教育テレビの「新日曜日美術館」で、「日々、いのち新たに 日本画家・堀文子 89歳の鮮烈」というタイトルの番組を観た。
 「花の堀文子」と言われているそうだ。
 ブルーポピーの花を求めてヒマラヤの岩場へ、ヘリコプターで飛んで行った映像もあった。生きている限り、驚いていたい。
 樹木の実一粒が、芽を吹いた場所で何百年も生きて巨木に生(な)っている不思議。
 花が咲いて枯れて散ってゆく植物の細部を観察し、思うことなどを話されていた。
 七十歳の時に、イタリアのアレッツォ市に移り住み、絵を描いていた時期もあったそうだ。
 六年前に、病に倒れた後に見つけたのは、ミクロの世界。堀さんは甕(かめ)の中にミジンコを飼っていて、顕微鏡で観察してミジンコの生態に驚く。この場面で、突然坂田明さんが登場する。
 庭には、蜘蛛が巣を張っている。その造形が素晴らしいと、目を輝かせていらっしゃった。それを作品にした時の技法的な工夫を聞くことができた。
 檀ふみさんに尋ねられて、「いままで描かなかったものを、震えながら描いてみたいです。」
 また、「まだ描いたことのない生きたものを描いてみたい。」とも。
 今年の夏は、庭から見える山に、森の中にもののけ(精霊)がいるような気がしてしまう、といって、山をスケッチしながら話をされていた。
 「生きている限り、驚いていたい。」
 
 夕方、黒田敬子展を袋町芸術館で観る。「無意識の意識」という作品以外は小さな作品だった。色は白を基調にしている。展示数は今回は、少し物足りなかったかな。
 老舗古書店で、文庫本を二冊買う。
 『不思議の国のアリスルイス・キャロル・多田幸蔵訳(旺文社文庫
 『若い芸術家の肖像』ジョイス丸谷才一訳(新潮文庫
 旺文社文庫の解説は、1975年が初版で、解説が若き日の高山宏である。新潮文庫の解説は向井敏
 参照:高山宏の「読んで生き、書いて死ぬ。」http://booklog.kinokuniya.co.jp/takayama/archives/2007/09/12.html