丸山眞男『回顧談 上』

ブロッコリー

 昨日、園芸店で野菜の苗を購入。まだ小さなブロッコリーの苗を植える。
 先日、鶴見俊輔上野千鶴子小熊英二の『戦争が遺したもの』(新曜社)を読んで、ちょっと気になっていた本を読みはじめる。
 丸山眞男『回顧談 上』(岩波書店)である。
 冒頭、いきなり陸軍船舶司令部に勤務していた頃の話から始まる。福岡の西部軍司令部へ転属を命じられて勤務していた人の話を聞いたことがあるので、司令部勤務がどのようなものかが、この丸山さんの回想からも、だいだい似たようなものだったことがうかがわれる。
 敗戦から、ひと月の九月十四、五日ごろ復員したという。そのときの広島の光景。

 そんなことがあったあと、意外に早く復員したのです。船舶司令部は宇品にあります。宇品から広島駅は一望のもとです。原爆のあとですから、ぜんぶ焼跡です。道もへったくれもありゃしない。焼け跡を踏みながら真っ直ぐ、宇品から広島駅までかなりあるのですが、歩いていった。ところが、来る汽車、来る汽車、超満員です。列車の屋根までいっぱいです。よく乗れたと思うのですけれど、何台目かに、とにかく強引に乗ったんだな。何行きということが書いてない。どこへ行くかわからない。果たして大阪まで来たらおしまいになってしまった。大阪は焼野原ですが、駅前広場で一夜を明かして、翌朝、また大阪駅から汽車に乗って京都へ行ったのです。  『回顧談 上』17ページ

丸山眞男回顧談〈上〉戦争が遺したもの