シネマのある風景2

 

 山田稔著『シネマのある風景』を読むと、パリのポルノ映画館街の近くに居たことがあるという。
 パリのポルノ映画館といえば、マリー=クロード・トレユー監督の『シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳』という映画がある。
 「ディアゴナル特集」で上映されたマリー=クロード・トレユー監督の映画がパリのポルノ映画館の案内係で働く女性を主人公にした作品で、同僚と様々な客を館内の席へひとりひとり案内して行く。

 主人公はポルノ映画が終演した後に女友達のいるナイトクラブに寄って二人で帰ろうとしたのだったが、ナイトクラブで男が女に銃で撃たれて殺される事件が発生。現場の混乱のため女友達と一緒に帰らず、主人公は一人でパリの深夜の街路を歩き始めたが、後ろから男の運転する車が寄って来て家まで送るから乗れと言う。断ってもついてくる。

 しつこくついてくるので、突然男の車を乗っとると自分で車を運転し始めた。その行為に唖然とする男。見知らぬ同士の二人が乗った車が深夜のパリの街を走る。主人公の女性は深夜開いている店があれば飲もうと探しながら運転するのだが、店が閉まっている。

 走りながら車中で男はベルギー人だと言う。深夜のパリの街を見知らぬ同士の二人を乗せた車は走りつづけるのだった。

 『シネマのある風景』のあとがきを読むとこの映画の公開された頃の滞在になるようだ。