2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

アンジェイ・ワイダ監督の映画『約束の土地』

「ポーランド映画祭」からの一本。 アンジェイ・ワイダ監督の映画『約束の土地』(1974年、169分、カラー、デジタル・リマスター版)を鑑賞する。 1974年にウッチ映画大学を卒業したワイダは、1970年代に文学作品を数多く映画化している。な…

映画『ヨアンナ』と『わたしたちの呪縛』

4月から5月にかけて、ポーランド映画祭を開催します。 4月は、アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた「ヨアンナ」と「わたしたちの呪縛」、4つのエピソードから成る前衛的作品「シンキング・ナプキン」といった、ポーランド映画の“今”を…

映画『一心太助 天下の一大事』

迫力ある殺陣、胸を打つ人情、大らかな笑い。活劇から喜劇まで日本映画を特徴づける幅広いジャンルとして人気を集めた時代劇。4月、5月は、そうした時代劇の秀作、話題作を振り返ります。今月の上映作品は、日本映画史上のベスト・ワンに輝いた「七人の侍…

「追悼・高田宏さん 酒品のいい人」を読む2

新潮社のPR誌『波』1月号に柴田光滋氏の「追悼・高田宏さん 酒品のいい人」が掲載されていた。 エッソ・スタンダード石油の「エナジー」誌の編集者であった高田宏さんに執筆の依頼に柴田さんは会いに行った。 一九七〇年代の半ばあたりの話で、その後、何冊…

今月の新刊から2

新刊で池内紀著『亡き人へのレクイエム』についての興味深いトピックスがあった。 参照:http://www.msz.co.jp/topics/07975/ 本書で会える「亡き人へのレクイエム」への初出の文に筆者の池内紀さんは加筆修正を加えたという。 一部引用すると、 「最初の追…

葉櫻や町を見下ろす白き犬

20日は二十四節気のひとつ穀雨である。 穀物をうるおす春の雨という意味のようだ。 この時期は青空が澄み空気が乾き過ごしやすい。 藤の花が満開になっていた。 八重桜も青空に映えている。 「吾子等喜戯南瓜の花は民の花」 「葉櫻や町を見下ろす白き犬」 …

店頭の鍬の柄素(しろ)し燕来ぬ

晴れる。最高気温23℃、最低気温14℃。 公園の河岸の枝垂れ柳が、春風にゆらゆらとゆれていた。 ツツジは満開で見頃だ。桜はもう葉桜になっている。 ツバメも見かけた。 「葉櫻や同じ祷りに隣り合う」 「店頭の鍬の柄素(しろ)し燕来ぬ」 「口髭の下の口…

『「思想の科学」私史』のこと

新刊の『「思想の科学」私史』(編集グループSURE)を読む。 鶴見俊輔インタビューがあり、聞き手が黒川創さん。 雑誌「思想の科学」は、編集部が戦後の出発から転々と発行所の場所を変えながら発行された。 鶴見さんが、当時の編集に関わった人たちの回想や…

カモメの羽の形と本の形

川の中の浅瀬に、一羽カモメがいた。 餌(えさ)の魚を、ついばんでいる。 ついばみを止めると鳴き声を上げた。 大きな鳴き声である。 しばらくすると、もう一羽、カモメが飛来したのだった。 二羽が、交互に空に向けて、大きな鳴き声を上げた。 その後、二…

『ひとり居の記』から

街路樹の生け垣のツツジが咲き出した。 道端の草地に、一面にクローバーの花が咲き競っている。 まだ蜜蜂は見かけない。 「行春や波止場草なる黄たんぽぽ」 「春惜しむ水にをさなき浮葉かな」 「梅の実のいま少しほどふとりゐき」 中村汀女の俳句で、昭和九…

淀川の河明りより蚊喰い虫

公園の桜は満開から散りはじめている。 まだ夜桜の花見客が樹下に座って興じていた。 「淀川の河明りより蚊喰い虫」 「夜桜の道を教へて行かせつつ」 「構内の一角夜業おそ桜」 中村汀女の俳句で、昭和十六年(1941年)の句である。 「局構内の八重桜満…

『映画探偵』を読む

四日、春分から十五日目。二十四節気のひとつ清明である。 花曇りの空であった。最高気温21℃、最低気温15℃。 桜狩りに山野をめぐる。桜は満開で一部に桜吹雪の場所も見られた。 高槻真樹著『映画探偵』を読む。副題は「失われた戦前日本映画を捜して」。…

今月の新刊から

春風に桜が満開になっている。 今月(4月)、みすず書房からの新刊で池内紀著『亡き人へのレクイエム』が出るようだ。 参照:http://www.msz.co.jp/book/detail/07975.html 本書で会えるのは、 種村季弘 森崎秋雄 森浩一 北原亞以子 須賀敦子 川村二郎 木田…