「追悼・高田宏さん 酒品のいい人」を読む2

 新潮社のPR誌『波』1月号に柴田光滋氏の「追悼・高田宏さん 酒品のいい人」が掲載されていた。
 エッソ・スタンダード石油の「エナジー」誌の編集者であった高田宏さんに執筆の依頼に柴田さんは会いに行った。
 一九七〇年代の半ばあたりの話で、その後、何冊かの本をお願いしたという。
 「エナジー」誌の印象を柴田さんは、 《格が違う。まさにそんな感じであった。知的でいて軽快なのである。》 

 この「エナジー」誌なのであるが、創刊は一九六四年四月で、発行はエッソ・スタンダード石油広報部、一九七一年七月発行で通巻第三〇号に達した。
 雑誌とはいうものの、内容的にはそれぞれの号が専門書一冊分に匹敵する。
 高田宏さんの希望で、三〇号記念に、日本文化に関係ある論説をその重要性を八人の編集協力者に、適否を採点してもらい、編者(梅棹忠夫多田道太郎)二人の協議によって、最終的に採択論文を決定したのが、《Energy》特別号の『論集・日本文化』である。
 一九七一年十月に発行、配布された。
 この特別号が評判になり、だれでもが入手できる形で出版せよという希望が、あちこちであらわれた。
 こういう経緯(いきさつ)があって、講談社現代新書で三冊に改編され刊行されたのである。
 以下の三冊にまとめられている。

 『日本文化の構造』(論集・日本文化1、講談社現代新書
 『日本文化と世界』(論集・日本文化2、講談社現代新書
 『日本文化の表情』(論集・日本文化3、講談社現代新書