2021-01-01から1年間の記事一覧

トマス・ピンチョンの『ブリーディング・エッジ』

あちこちに梅の花が咲き出して近くを通るとほんのりと良い香りが漂って来る季節になりました。 梅につづいて、桜もぽつぽつと咲き出していました。早咲きの桜で河津桜です。青空を背にして紅色の花びらが鮮やかです。 サクラの一品種。ヒカンザクラと早咲き…

映画『スパイの妻』

寒の戻りで、年末から正月の頃の気温へ再び戻った。朝の気温が氷点下。最高気温が5℃で晴れる。雪混じりの強い風が吹くなかを映画『スパイの妻』を観に出かけた。中高年の観客が多い。黒沢清監督の映画である。 映画を観ながらエリック・ロメール監督の映画…

枇杷咲いて長き留守なる館かな

先日、ビワの花が咲いていた。ビロード状のつぼみが割れて、小さな白い花びらが密集して咲いていました。地味な花で遠くから見るとあまり目立たない。葉は大きくてつやつやしています。 バラ科の常緑高木。四国・九州の一部に自生し、高さ約一〇メートル。葉…

片岡一郎『活動写真弁史』

みすず書房の「みすず」1・2月合併号を手に取って見る。2020年読書アンケートで毎年恒例になっている。映画本で岡田秀則氏が、ケヴィン・ブラウンロウ『サイレント映画の黄金時代』(国書刊行会)を挙げていた。 そして《無声映画といえば、二〇二〇年…

写真と記憶、小説と旅

新潮社のPR誌『波』2月号の石川直樹と柴崎友香の対談「誰かにとって特別なことで、この世界はできている」を読む。 石川直樹のエッセイ集『地上に星座をつくる』と柴崎友香の33の短編からなる小説集『百年と一日』をめぐるトークイベントを採録した対談で…

いま一つ椿落ちなば立去らん

今年は2月2日が節分である。節分は立春の前の日で季節の変わり目である。豆まきをしてわざわいをはらう。まだ寒さが残るが、もう梅の花がぽつぽつと咲きだしている。花びらからほんのりと良い香りがする。 椿(ツバキ)の木に赤い花が満開で、樹下に点々と…

二冊の本

先日22日、NHKのラジオ番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」は、「ヒミツの本棚」が宇佐見りん著『推し、燃ゆ』で、本の紹介(書評)と高橋源一郎による朗読を聴いた。後半のゲスト出演が、宇佐見りんさん本人だった。驚く。宇佐見りんと高橋源一郎の談話を聴く。…

白水社のPR誌のこと

パブリッシャーズ・レビュー「白水社の本棚」2021年冬号が届きました。白水社のPR誌です。 次号(4月号)からはA5判小冊子にリニューアルされるというお知らせがありました。本号をもってタブロイド判としての発行は最後になるということです。201…

『渋谷実 巨匠にして異端』を読む

先日、映画本を眺めていたら、渋谷実についての本を見つけた。志村三代子・角尾宣信編『渋谷実 巨匠にして異端』で、手に取って見ると、表紙の写真が渋谷実監督の映画『自由学校』の最後のシーンにある横に伸びた松の枝に佐田啓二と淡島千景の若い二人の恋人…

「ヒミツの本棚」から

昨夜、NHKのラジオ番組で「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いた。前半の「ヒミツの本棚」が藤本和子著『ブルースだってただの唄』が採り上げられて紹介される。リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』、『ビッグ・サーの南軍将軍』、『西瓜糖の日…

寒牡丹挿すやはなはだ壺貧し

快晴で最高気温は14℃、暖かくなった。冬咲きの牡丹(ボタン)が満開で色とりどりに目を楽しませてくれる。 「霜除に覗き窓あり寒牡丹」 「寒牡丹挿すやはなはだ壺貧し」 「調度みな之にふさはし寒牡丹」 松本たかしの昭和十三年(1938年)の俳句です。…

PR誌の書評から

明けましておめでとうございます。 年末から正月にかけて寒波が襲来でした。 今日は最高気温が2℃、この冬一番の冷え込みです。 出版社のPR誌で「波」と「図書」の1月号で、「波」の表紙がミシェル・フーコーの写真です。筒井康隆の掌編小説、対談・加藤…