2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

多田道太郎編『人の心と自然環境』のあとがきと漫画

東の種村季弘、西の多田道太郎と密かに名づけている。その伝で言えば北の山口昌男? となるかな。 多田道太郎編『人の心と自然環境』、1998年刊(カタログハウス)の「あとがき」が面白い。 多田道太郎のあとがき。 変幻自在です。共同研究というとどう…

老荘の徒と散木

風来山人といえば平賀源内。では、二子山人とは、誰か? 三浦梅園のことである。国東半島の最高峰の両子(ふたご)山から名乗ったようだ。梅園が建てた屋敷が残っていて、以前、両子寺からバスで途中下車して訪れたことがあった。天球儀を見せていただいた。…

杉本秀太郎の『新編 洛中生息』と巨樹

夕方、頼まれていた植木を刈る。これで二度目だ。脚立を使って背より高い枝を刈り取っていく。年々樹木は伸びてゆく。そして、いつのまにか巨樹になるのだ。京都の洛中に住む杉本秀太郎は『新編 洛中生息』、1989年刊(ちくま文庫)で「時折、樹木が目当…

銅像のある郵便ポスト

公園の中で銅像のあるポストを見つけた。郵便物を入れる部分は石材で出来ている。その上に男の子と女の子が手をつないで手紙を読んでいる銅像が建っている。郵便物を入れる差し入れ口の下に、「手紙は世界をつなぐ」と文が刻まれている。背景の公園木はクス…

奥野良之助の『金沢城のヒキガエル』とドジ人間

先日、吉田健一の小説『金沢』は文章に自由自在さがあると書いたが、その金沢の城跡に生息するヒキガエルを9年間観察した奥野良之助の『金沢城のヒキガエル』、1995年刊(どうぶつ社)は読みながら何度も笑ってしまう。副題は「競争なき社会に生きる」…

立石大河亞版画展と『遊』

19日に中村宏さんのお弟子さんに当たられる方から、タイガー立石の版画展があるというメールを頂く。 今晩は。 今朝の朝日、立石さんの版画展の告知が。 版画展に気がつかなくて、「13点を展示。販売あり」に???になりました。長く展覧会に出かけてい…

薔薇の名前

公園を通り過ぎる一角に大きなバラの花壇がある。近寄って花を嗅ぐ。良い匂いだ。様々な品種のバラが植えられている。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』ではないが、ぐるりと回って花と名前を見る。クイーン・エリザベスとか、アンネ・フランク。アルバー…

吉田健一の『東京の昔』と自転車

先日、とうとう自転車が壊れてしまったので新車を買った。パナソニックのライトシティS。使い心地は良い。自転車と言えば、吉田健一の小説『東京の昔』はこの自転車をめぐる物語と言えなくもない。不思議な作品だ。1930年代はじめのころの東京を舞台に…

宮脇俊三の『アンデスの高山列車』とマチュピチュ

ロバート・レッドフォードが制作総指揮した映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』では、若きゲバラ青年がアルゼンチンのブエノスアイレスから友人と2人でオートバイ旅行に出発する。パタゴニアを経てチリ、ペルーと旅を続けるのだが、途中インカ帝国の首…

厳島神社の舞楽、世界遺産への旅行者

夕方、友人宅へ寄らせてもらう。2月の下旬パートナーを亡くされて今は一人。しばし亡き人の思い出話。葬儀のあった日は寒い日だった。あの日の帰り道、国道沿いの道を何キロも歩いていたのだった。道草をしながら・・・。途中、橋から下の川を眺めたら水鳥…

翻訳作法と誤訳

ユリイカの2005年1月号は、特集が翻訳作法。『君は「自己消去」できるか?』というタイトルで金子靖が柴田元幸にインタヴューして語らせているが面白い。「この言い方は普通か、普通でないか」ということに興味があったから、『英語クリーシェ辞典 もん…

鉄道と日本人、線路はつづくよ

ユリイカの2004年6月号は、特集が「鉄道と日本人」。鉄道はどこへゆくのか、というタイトルで原武史と関川夏央の対談が読ませる。副題が地方から見るとなっていて、1872年の鉄道開業から130年後の今日までの歴史的に見た鉄道事情が地方から見る…

クスノキの花

今、クスノキの若葉がいっせいに伸びている。小さくて目立たないのだが白い花が咲いている。そばを通りかかっただけではなかなか気がつかないが、近くに寄って見ると小さい花が沢山咲いているのだ。白く小さい花、クスノキの花。若葉を手に採ってすり潰すと…

クスノキの雑感

街路樹や公園木にクスノキが多い。植えられてから60年近く経ったクスノキは大きく なっている。クスノキの葉を千切ると樟脳の匂いがする。防虫剤の樟脳と同じ匂いだ。この防虫作用で長寿の巨樹になったクスノキを神社などで見ることができるのだろう。クヌ…

植木を刈り込むとアヤメが咲いていた

頼まれていた植木を刈り込む。若葉が伸びて鬱蒼となっていた枝が取り払われると軽くなったようだ。庭の片隅に一輪の花が、おや、アヤメだ。ひとり静かに咲いている。花言葉は「神秘的な人」だそうです。 向うの家ではたおやめが横になり 女同士で碁をうつて…

中国の杭州からの便り

中国の杭州からの便りが、3日の消印で届いた。休暇で旅行されていたMさんからのうれしい便りである。黄山へ行かれたとのこと、絵はがきの写真は雲霧に覆われた九龍山。岩がそびえ立つ山水画の一場面のようだ。深山幽谷といったところか。仙人が住んでいそ…

夕方の散歩でツツジ

夕方、野暮用で出かける。歩く先々で植え込みに花が咲いている。暮れかける頃の光の中で花が一段とそこだけ明るい。もうしばらくすると暗闇に消えてしまう。先月の初めの頃、モクレンの白い花が咲き誇っていた所は若葉に変わり、ソメイヨシノの桜の花も若葉…

野見山暁治の『一本の線』のあとがき

絵描きの自伝は大抵面白い。池田満寿夫の『私の調書』もおやっと思わされる話があっていいのだが、野見山暁治の『一本の線』(1990年第1刷発行、朝日新聞社)もいい。あとがきの文章も文句なく気に入った。 今、この本は絶版になっているらしい。 野見…

田中小実昌の『ないものの存在』が面白い

大和ミュージアムへ出かける時に持って行った田中小実昌の2冊の本、『アメン父』と『ないものの存在』で、まだ読んでいなかった後者を読み始めた。作品が5編ほど収められている。なかでも『クラインの壺』と『言うということ』の2編が面白い。1989年…

稲垣足穂の『ヒコーキ野郎たち』を読みたくなった

大和ミュージアムで零式艦上戦闘機を見ていた時、館員の方が側に居られたので来歴を尋ねてみた。滋賀県の琵琶湖に沈んでいた零戦で引き上げられた後、和歌山県の方に展示されていたものを譲り受けたとのことだった。零戦は思ったより大きかった。エンジンは…