2017-01-01から1年間の記事一覧

最近の読書から

四方田犬彦の『署名はカリガリ』の副題が「大正時代の映画と前衛主義」とある。 「谷崎潤一郎 1918」 「大泉黒石と溝口健二 1923」 「衣笠貞之助 1926」 「署名はカリガリ」 以上の四篇が収録されている。「谷崎潤一郎 1918」で興味を感じた…

さらさらと衣(きぬ)を鳴らして梅見哉

曇り、最高気温11℃、最低気温2℃。風もなく穏やかで冷え込む。 白梅が満開になっていた。枝に付いた花を観察する。ほんのりと梅の上品な良い匂いがして来た。 「さらさらと衣(きぬ)を鳴らして梅見哉」 「梅の寺麓(ふもと)の人語聞ゆなり」 「梅遠近そ…

鈴木清順さんの映画のこと

22日から23日にかけて中国地方に春一番が吹いた、と気象台からの発表がありました。 立春から春分の間に日本海で低気圧が発達したときに吹く南よりの強い風。 今朝の新聞で鈴木清順氏の訃報を知る。 昨年の秋に、「石原裕次郎と日活映画のスターたち」か…

雨降れば雨も行くべし草萌ゆる

曇り、最高気温10℃、最低気温1℃。 夕方より小雨になる。雨に濡れた水仙の白い花が美しい。 ヒガンバナ科の多年草。早春に、鱗茎(りんけい)から一本の花茎を出し、白や黄色で中央に副花冠をもつ花を横向きにつける。葉は根生し、平たい線形。耐寒性で栽培…

ハクモクレンと『雑めく心』

快晴で非常に乾燥している。湿度27%。最高気温11℃、最低気温4℃。洗濯物がよく乾く。 モクレン科の落葉高木のハクモクレン(白木蓮)のつぼみが膨らんで来ていた。 近寄って観察する。ビロードのような感触でつぼみはまだ堅いが、植物の芽吹きがあちこ…

ディック・ブルーナさん

18日は、二十四節気のひとつ雨水です。 夕方の晴天に金星が明るく輝いていました。 今朝の新聞でディック・ブルーナさんの訃報を知りました。 うさこちゃんシリーズの絵本でおなじみの作者。 ブルーナさんの絵本は、シンプルな色と絵で、想像力や夢をはぐ…

水鳥に人とどまれば夕日あり

立春を過ぎても寒気の日々だったが、急に春めいた。 南西の風が吹き、晴れて青空が広がる。最高気温15℃、最低気温1℃。 渡り鳥のヒドリガモが、川に一面に群れていた。のどかな日向ぼっこする野鳥の群れ。 「水鳥に人とどまれば夕日あり」 中村汀女の俳句…

映画『永遠の語らい』

「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」からの一本。 『永遠の語らい』(2003年、1時間35分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を鑑賞する。 監督・脚本、マノエル・ド・オリヴェイラ。 撮影、エマニュエル・マシェエル。 出演、レオノール・シル…

深雪道来し方行方相似たり

3日、節分。鬼は外、福は内の豆撒きをする。 4日、二十四節気のひとつ立春で、青空でよく晴れた。最高気温12℃、最低気温2℃。 寒明けで、日脚が伸びるのを実感する。 金柑(きんかん)の実が鈴なりになっている。生でも食べらるが、大量で食べきれない時…

映画『階段通りの人々』

「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」からの一本。 『階段通りの人々』(1994年、1時間36分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を観る。 フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター。 出演、ルイス・ミゲル・シントラ、ベアトリス・バタ…

映画『ノン、あるいは支配の空しい栄光』

「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」が1月26日から2月9日まで映像文化ライブラリーで開催されている。 『ノン、あるいは支配の空しい栄光』(1990年、1時間50分、カラー、35ミリ、日本語字幕)を観る。 出演はルイス・ミゲル・シント…

「スマホ時代の映画体験」

公園の山茶花(さざんか)に白い花が咲いている。ツバキ科の常緑小高木で葉が艶々としている。高さ5メートルほど。 そばの草地にハコベが生(は)えていた。春の七草の一つです。 「芹摘(せりつみ)に渡る我等を鳰(にお)が見る」*1 「芹摘の一人二人を鳰…

心萎(こころな)えしとき箸逃ぐる海鼠かな

晴れて、暖かく乾燥している。最高気温13℃、最低気温2℃。 街路樹にウラジロガシ(裏白樫)を見つけました。冬のこの時期はもうドングリは見られません。 葉の裏側が白いですね。 ブナ科の常緑高木。本州中部以南の山地に自生。葉は長楕円形で、先半分の縁…

マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『レステロの老人』

「マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集」から遺作になった作品と監督第一作を観た。 『レステロの老人』(2014年、19分、カラー、Bru-ray、日本語字幕)と『アニキ・ボボ』(1942年、71分、白黒、35ミリ、日本語字幕)の二本である。 『レ…

「本の窓」2月号から

「本の窓」2月号を入手しました。「自著を語る」で、堀江敏幸『音の糸』「言葉を巻くボビン」を目にしました。小学館の新刊です。 「新刊展望」12月号では発売日が11月24日でしたが、今月1月26日発売予定となっています。 偶然かもしれませんが、…

渋谷実監督の映画『本日休診』

夏目漱石をはじめ、森鷗外、志賀直哉、島崎藤村など、著名な作家の小説を映画化した作品を特集します。上映作品は、漱石文学を松田優作の主演で映画化した「それから」、島崎藤村の名作を新藤兼人が脚色し、吉村公三郎監督が時代考証にこだわりを見せた「夜…

寒を盈(み)つ月金剛のみどりかな

20日は二十四節気のひとつの大寒です。 晴れて強い西風が吹き、最高気温10℃、最低気温3℃。 一年でもっとも寒い時期ですが、枇杷(びわ)の花が咲いていました。バラ科の常緑高木でほんのりとした残り香があります。 「寒を盈(み)つ月金剛のみどりかな…

生誕百五十年

先日、「波」2016年12月号の江藤淳の講演「為替と念書――『漱石とその時代』余話」を読んだ。 1993年11月12日の紀伊國屋ホールでの講演採録を掲載している。講演が面白かった。 昨年の十二月九日が漱石没後百年。今年の二月で生誕百五十年を迎…

いくたびも雪の深さを尋ねけり

14日、晴れて日差しが強く気温は低かった。最高気温5℃、最低気温1℃。 北風に牡丹雪が舞う。夕方にかけて本格的に降り出した。数時間後に地面があっという間に雪景色になっていた。 建物から出ると、灰色の空に雪の乱舞にあおられてカラスの群れが舞って…

「ブローティガンと俳句の関係」を読む2

晴れた。最高気温10℃、最低気温3℃。北風が吹く。乾燥した空気である。 夕方、西南西の空に金星が眺められた。濃い青色を背景に美しく、見上げるほどに高く輝いている。 そして、晴れ上がった夕空でひときわ目立つ。 東の空には丸くなった大きな月が眺めら…

「ブローティガンと俳句の関係」を読む

岩波書店のPR誌「図書」1月号の池澤夏樹の連載「詩のなぐさめ」で「ブローティガンと俳句の関係」を読んだ。 池澤さんが、一九七六年の話を書いている。 当時、アテネで暮らしていたそうだ。*1 一部引用すると、 ぼくはほとんど詩人であるこの作家が好きに…

伝奇時代小説「乱菊物語」のこと

昨年(2016年)の新刊の池澤夏樹=個人編集「日本文学全集 谷崎潤一郎」の池澤夏樹の解説が面白かった。 伝奇時代小説「乱菊物語」を、この巻のために選んだ理由を説明している箇所と「乱菊物語」の大阪朝日新聞連載中断の理由で、畏友・辻原登から聞いた…

三ヶ日過ぎたる鯖の味噌煮かな

三が日は晴天に恵まれました。最高気温は13℃から15℃ほどであったが、空気は乾いていた。 天気がよく風もなくのどかに冬の渡り鳥のヒドリガモなどが川に群れているのだった。 ピューピューという鳴き声はなくて、静かな日だまり。 5日は二十四節気のひと…

正月と小説の話

あけましておめでとうございます。 朝はお雑煮とお屠蘇で正月らしい気分になった。 お雑煮は丸餅と蛤(はまぐり)と蒲鉾と三つ葉が入っている。汁は澄ましである。 初詣に神社仏閣へ出かける。道中、電車で長嶋有の小説「ジャージの二人」を読む。 昨年から…