2011-01-01から1年間の記事一覧

ちび助物語と四本指の謎

アニメーションで、活弁による瀬尾光世の『一寸法師 ちび助物語』をスクリーンで見ていて気づいたこと。 一寸法師ちび助がお椀の舟を漕いで都へ向かいます。 碇(いかり)を下ろしてお椀の舟から陸へ上がると、ジャックと豆の木のように空高く伸びている蔓の…

小津安二郎の映画『東京の合唱(コーラス)』

21日、小津安二郎監督の映画『東京の合唱(コーラス)』(1931年、松竹キネマ、90分、白黒、無声)を映像文化ライブラリーへ見に出かけた。活動弁士・佐々木亜希子さんの語りで観る。 『東京の合唱』の上映の前に、無声映画が三本が先行して上映され…

『メタフィジカル・クラブ』のこと

今月(8月)の新刊で、みすず書房からルイ・メナンド著『メタフィジカル・クラブ』が出た! メタフィジカル・クラブのことは、鶴見俊輔著『たまたま、この世界に生まれて』(編集グループSURE)での談話で、プラグマティズムをめぐり興味深かった箇所である…

秋立つやほろりと落ちし蝉の殻

東の空が明けゆく頃、吹く風が涼しい。 明けゆく空とともに、蝉が鳴き始めた。 お盆の入りに、夜クマゼミが家に飛来した。だが、どこかに消えてしまう。 翌朝、羽音で意外な場所にクマゼミがいるのを発見し、捕まえて、手にとって、間近に観察した。その後に…

「新・話の泉スペシャル」真夏の夜の夢編

8月8日が二十四節気のひとつ立秋であった。 立秋が過ぎてからの連日、猛暑日がつづく。 お盆で今夜は満月である。 夜、NHKラジオの番組で、「新・話の泉スペシャル」真夏の夜の夢編を聴いた。 出演は、山藤章二、毒蝮三太夫、ミッキー・カーチス、嵐山光三…

怪談学への誘い

寝苦しい夏の夜は怪談でも読んで、現代ばなれした気分を味わいたい。 と、笹川巌著『怠けの歳時記 知る遊ぶ休む』(実業之日本社)の「【七月】怪談」の冒頭にあるが、このなかで展開される「怪談学への誘い」と「書誌学的アプローチ」が実に興味深い。 幽霊…

セミフ・カプランオール監督の映画『蜂蜜』

セミフ・カプランオール監督・脚本の映画『蜂蜜』(2010年、トルコ・ドイツ、103分、カラー、原題:Bal)を、サロンシネマ2で観る。上映二日目。観客は30人ほど。 山深い森に父と母と三人で暮しているユスフは文字を学校で習い始めた6歳くらいの…

ジャック・ロジェのこと

午前五時、東の空は、朝焼けの色でほんのりと赤らむ。 木星が南の空に高く南中しているのが眺められた。 朝顔が、北寄りの風に吹かれてゆれている。 午後、街路樹のツバキの実が光り輝いていた。艶々している。 夕方、散ったハスの花は、花托(かたく)が膨…

絵本『赤いカヌーにのって』

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー著『コンコード川とメリマック川の一週間』が、昨年、而立書房から山口晃氏の翻訳で出版されました。 『コンコード川とメリマック川の一週間』での旅は、舟旅が一週間、登山が一週間と合計すると二週間の旅で、ヘンリーとその…

落語「代脈」と「青菜」

昨夜、NHKラジオ深夜便で落語を放送していた。聴いた落語は、桃月庵白酒による「代脈」と柳亭市馬による「青菜」である。 解説は柳家さん喬。聞き手が遠藤ふき子さんだった。 「代脈」といえば桂文我がお気に入りなのだが、とくにおなかを押さえる場面、出る…

ゴマダラチョウと幻想図書館

街路樹の大きな木の幹に白い樹液が出る部分があって、蝶が樹液を吸っている。 黒白の模様の蝶で、色と形と模様を調べると、ゴマダラチョウのようだ。 胡麻斑蝶 鱗翅(りんし)目タテハチョウ科の昆虫。翅(はね)の開帳約七センチ。翅は黒色に白紋が散在。幼…

回顧の人

夕方、公園の池へハスの花を見に寄る。花弁(はなびら)はもう閉じていた。 花弁が散ったハスには、花托(かたく)が見られる。 睡蓮やハスに、イトトンボが多くとまっている。水中から顔をのぞかせている蛙たちもいる。 みすず書房の「大人の本棚」の一冊、…

ツバメシジミ

小さな蝶を見つける。若葉にとまっていた。 一センチ半ほどの小さな蝶だった。調べると、ツバメシジミのようだ。 シジミチョウ科のチョウ。翅(はね)は瑠璃(るり)色で黒く縁どられ、後ろ翅には尾状突起がある。 『大辞泉』 目を凝らして見ると、蝶の後ろ…

赤トンボと赤マント

公園の池で、葦(あし)の葉にとまっている赤トンボがいた。 そばで観察していると、大きなトノサマガエルが水中から突然、ぴよーんと飛び上がって来た。 赤トンボは、すばやく危険を回避するべく空へ舞い上がった。 無事にトンボはカエルから逃れることが出…

我が来たる道の終りに揚羽蝶

七月七日は二十四節気のひとつ小暑でした。小暑とは夏至の後、十五日目。 もう夏至から十五日以上も過ぎ、暑さが本格的にいつのまにかなりました。 日中は気温が三十度を超え、汗がじわりと流れる。 しかし、雨降りの日に見かけなかった昆虫が、晴れたので活…

塩さばと羊羹

昨夜のNHKラジオ深夜便は、迎康子さんの担当日。 ミッドナイトトークが「忘れられない出会い」と題してロバート・キャンベル氏が出演していた。 子供の頃に、父祖の地アイルランドへお祖母ちゃんの四十年ぶりの里帰りに同行して、初めてアイルランドの地で親…

俳句はつぶあん、短歌はこしあん?

二十四節気のひとつ夏至から十日ほど過ぎて、まだ梅雨空がつづく。 連日、三十度前後に気温があがり蒸し暑い。 夕方、公園の池に寄る。ハスの葉が水面から伸びて高くなり、雨水が葉の上に溜まっていた。 池には蝶トンボや赤トンボ、糸トンボが見られた。トン…

ミツバチと『荘子 内篇』

梅雨の中休みの日、交通量の多い交差点の歩道脇のクローバーが帯のように広がっている中に、ミツバチが花から花へと蜜を求め飛び回っていた。 数センチまでデジカメを近づけても刺すこともなく、ミツバチは一心不乱に花の蜜を集めているのだった。穏やかな振…

映画『プリンセス マヤ』

日本と欧州連合(EU)の市民交流の促進を目的として毎年行われる「日・EUフレンドシップウィーク」の一環として開催の「EUフィルムデーズ」で多彩なヨーロッパ映画が映像文化ライブラリーで上映されている。 15日、テレサ・ファビク監督の映画『プリンセス…