2011-01-01から1年間の記事一覧

「著者に聞きたい 本のツボ」

5日のNHKラジオの「土曜朝いちばん」で、「著者に聞きたい 本のツボ」が、『安部公房伝』の著者・安部ねりさんへのインタビューで、談話を興味深く聴く。 安部公房は、娘のねりさんへ、演劇と小説の関係で、劇作家を小説家より偉いんだと言っていた。 学校…

映画『馬』

昨年の12月に亡くなった高峰秀子さんの特集が今月から二ヵ月にわたって、映像文化ライブラリーで、開催される。 5日、山本嘉次郎監督『馬』(1941年、東宝映画、映画科学研究所、127分、白黒)を観る。 出演、高峰秀子、竹久千恵子、藤原鶏太、丸…

掻きチシャと小さな天体

3日、4日と例年より気温が高い。晴れて陽射しが強く汗ばむ。 3日が23℃、4日が25℃もあった。 二十四節気のひとつ霜降のあと、紅葉がはじまっている。 野菜のチマ・サンチュの苗を植える。 チマ・サンチュとは? 見た目はチシャである。調べると、日本…

アニメーション、『ストーミー・ナイト』

文化の日、「国際アニメーション・デー2011in広島」で、7作品が上映される。 1、ミシェル・ルミュ監督『ストーミー・ナイト』(2003年、カナダ、9分55秒) 2、ユージン・フェドレンコ、ローズ・ニューラブ監督『愚か者の村』(1999年、カ…

アニメーション、『お坊さんと魚』

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督『お坊さんと魚』(1994年、オランダ、フランス、6分25秒)は、修道院の僧侶が、池に一匹の魚を見つけ、魚を捕まえようとする物語。 セリフはなく、ピアノの軽快な音に合わせるように僧侶は、来る日も来る日も…

アニメーション、『インスティンクト』

先月28日、「国際アニメーション・デー2011in 広島」から7作品を観る。 1、ラオ・ヘイドメッツ監督『インスティンクト』(2003年、エストニア、10分28秒) 2、クロード・リュエ監督『スクエア・オブ・ライト』(1992年、スイス、4分5…

霜降と戦時下の日本の漫画映画

10月24日は、二十四節気のひとつ霜降であった。 この日、山間部では朝の冷え込みで、氷点下を記録したとニュースで報じていた。 霜降というように、この時期の自然の移り変わりをよく表しているものだ。 動植物では、ここ数日ウグイスがやって来る。一メ…

『日本人は何を捨ててきたのか』

新刊の鶴見俊輔と関川夏央の両氏による対談『日本人は何を捨ててきたのか』(筑摩書房)を読んでいる。 この対談集は、二つの対談をまとめている。 「第一章 日本人は何を捨ててきたのか」と「第二章 日本の退廃を止めるもの」。 第一章は、1997年3月1…

映画『ウェイヴ』

20日、「日独映画祭EN」から、デニス・ガンゼル監督の映画『ウェイヴ』(2008年、ドイツ、108分、カラー)を観る。観客は40人ほど。 出演はユルゲン・フォーゲル、フレデリック・ラウ、マックス・リーメルト。 プログラムに、 独裁制をテーマにし…

何事の心いそぎぞ秋の蝶

秋日和で、通り沿いの花壇に蝶が舞っている。 黄色い花弁(はなびら)に舞い降りた。 ツマグロヒョウモンの雄かな。? 明治二十八年の正岡子規の句に、「何事の心いそぎぞ秋の蝶」。 もう一句、「馬糞に息つく秋の胡蝶かな」。 8月、小学生・中学生・高校生…

映画『ほら男爵の冒険』

2011年は、日本とドイツが1861年に修好・通商・航海条約を結んでから150年目にあたるということで、昨年の10月からの日独交流150周年を祝う多彩なイベントのひとつ「日独映画祭EN」が、14日から映像文化ライブラリーで始まっている。 上映…

安部公房伝3

3月11日、この日の午後、大型電器店に寄った時にテレビ売り場で東北の地震を知った。 その朝だったが、朝日新聞で中原佑介氏の訃報記事を目にしたのだった。 安部ねり著『安部公房伝』(新潮社)に、著者が交流のあった25名にインタビューしている。 こ…

夕風や水青鷺の脛(はぎ)をうつ

橋を渡っていると、大きなつばさを広げた鳥が低空で、滑るように飛んで来た。 すーっと、滑らかに橋のたもとの岸辺に着地する。 アオサギだ。 橋の上は人が多く歩いているが、人の気配に平気でまっすぐ立っている。 遠くから見ると鶴ではないかと思えるほど…

鯉はねて月のさゞ波つくりけり

9日は二十四節気のひとつ寒露である。 金木犀(キンモクセイ)の花の香りがする季節になった。 川を渡っていると、川面をジャンプしている魚が一匹見られた。 ホップ、ステップ、ジャンプと順々に水面から飛び上がっていた。 水中から大気中へ魚が飛び出し…

安部公房伝2

安部ねり著『安部公房伝』が面白い。 《この伝記は、大まかに言えば伝記部分と言語論などの理論展開の部分でできています。理論展開の部分は、読むのが面倒くさい方も多いかと思います。お気に召さないところは、ぜひ飛ばして好きなところだけ読んで下さい。…

安部公房伝

夜明け前の星空を眺める。時間は5時を少し過ぎた頃、南の空に、オリオン座が見られる。 オリオン座のリゲル、時計回りにおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、六個の星がつくる…

新日曜名作座と平清盛

日曜日の夜はNHKラジオ第1で、 新日曜名作座に耳を澄ませる。 「岸本葉子短編集」を8月28日から毎週、日曜日の夜に放送しているのだ。 先週は、「多生の縁」に耳を傾けた。 今夜は、岸本葉子の原作「長女の春」を聴く。脚色は富永智紀による。 出演は、…

曼珠沙華無月の客に踏れけり

道端に彼岸花(ひがんばな)が咲いていた。群生していて色鮮やかである。 ヒガンバナ科の多年草。土手や田の畦に生える。秋の彼岸のころ、高さ三〇センチの花茎を伸ばし、長い雄しべ・雌しべをもつ赤い六弁花を数個輪状につける。花の後、線形の葉が出て越冬…

ロダーリの新刊

早朝、ゴーヤを収穫する。 秋分を過ぎて、街路樹にザクロの実が見られた。 ザクロ科の落葉高木。葉は長楕円形。六月ごろ、筒形で多肉質の萼(がく)をもつ橙赤色の花をつける。果実は球形で、紫紅色に熟すと裂けて種子が現れる。果実の外種皮を食用に、また…

「落語全集」

「落語全集」については、岩波少年文庫の50年『なつかしい本の記憶』(岩波少年文庫別冊)に、池内紀と池内了の「耳と目で読む」という対談に述べた箇所がある。 対談によると、池内了氏は、「落語全集」というのが家にあって、分厚い上下二巻本で昭和二、…

隠居学の「講談全集」「落語全集」

今月の4日の朝日新聞の読書欄「ニュースの本棚」に、加藤秀俊氏の「梅棹忠夫再読」が掲載されていた。再録すると、 生態学という学問は世界の姿をあるがままにみる学問である。そこには分類学も系統論も目的論もない。梅棹さんといっしょに、わたしはしばし…

映画『復活』

22日、台風一過、秋晴れであった。 「イタリア映画特集」のパオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ監督の映画『復活』(2001年、イタリア、フランス、ドイツ、187分、カラー)を観に寄る。観客は50人ほど。 上映時間が三時間を超える…

映画『赤い砂漠』

早朝、北寄りの風が吹く。雲がゆっくり南へ移動してゆく。雨はなく、台風の今後の動きが気になる。 今月は池部良特集とイタリア映画特集の二本の特集が映像文化ライブラリーで上映されている。 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画『赤い砂漠』(19…

マルチェッロ・アルジッリの『アトミーノは戦争がきらい』

東京創元社のウェブマガジンにマルチェッロ・アルジッリの『アトミーノは戦争がきらい』を入手した北原尚彦氏が、その内容について書いている。 『アトミーノは戦争がきらい』という作品の概要がやっと分かる。 マルチェッロ・アルジッリの『くじらをすきに…

社を出れば十六夜の月上りけり

8日が、二十四節気のひとつ白露だった。 この頃より秋らしくなるのだが、三十度を越える真夏日がつづいている。 通りの街路樹から蝉の鳴き声が、まだ聞えていた。 この残暑で、公園の池の縁にトノサマガエルがいた。 睡蓮の広がる水面に生えている葦(あし…

祇園の鴉愚庵の棗(ナツメ)くひに来る

街路樹のナツメが熟して赤く色付いた。 明治三〇年の正岡子規の句に、「祇園の鴉愚庵の棗(ナツメ)くひに来る」。 4日の朝日新聞の読書欄「ニュースの本棚」に加藤秀俊氏の「梅棹忠夫再読」が掲載されていた。 梅棹忠夫さんが亡くなって1年がすぎた。 本…

『ラリーのスピーディ』と稲垣足穂

残暑がつづく。昼は、蝉しぐれである。夜になると虫の声が聞こえるようになった。 街路樹の棗(ナツメ)の実が鈴なりである。 冬の間に根元の周辺に肥料を埋めていたので、例年にくらべると実が大きい。 正岡子規の明治二十九年の句に、「行脚より帰れば棗(…