2012-01-01から1年間の記事一覧

北風が吹く

7日が二十四節気のひとつ立冬であった。 連日、時雨(しぐれ)で、ぱらぱらと通り雨がある。 冷たい北風が吹き、晴れたり曇ったり変化がめまぐるしい。 紅葉した街路樹がきれいだ。青空を背景にしたイチョウの樹の黄葉は鮮やかだ。

映画『放浪記』

10月に引き続き今月(11月)も「日本映画 スター・ベスト30」の上映がつづく。 9日、成瀬巳喜男監督の『放浪記』(1962年、宝塚映画、123分、白黒)を鑑賞。 出演は高峰秀子、田中絹代、宝田明、加東大介。脚色は井手俊郎、田中澄江。美術が中…

鉄腕アトムの漫画を講談で聴く

夜、NHKラジオで、講談を聴く。 「ラジオでよみがえる鉄腕アトム▽講談で漫画を再現!」というタイトルの番組で、司会は小野卓司アナウンサー。ゲストが神田織音、手塚眞。 鉄腕アトムの漫画を講談師・神田織音さんが再現する講談が楽しめた。 耳で聞く鉄腕ア…

井伏鱒二の「場面の効果」について

井伏鱒二著『場面の効果』(大和書房)には、三十六篇の随筆が収録されている。 そのひとつ本のタイトルと同じ「場面の効果」は、昭和四年発表の文章です。 多田道太郎の「転々私小説論」(三)「飄逸の井伏鱒二」で、俳優の石山龍嗣について述べている箇所…

月清ら清らに匂ふ落葉かな

街路樹が紅葉の季節になった。 イチョウの葉は青空に明るく黄葉しているし、街路樹のまわりは落葉の敷き詰められた絨毯(じゅうたん)のようだ。 「月清ら清らに匂ふ落葉かな」 芥川龍之介の句である。 もう一句、「桐の葉は枝の向き向き枯れにけり」。

映画『千羽鶴』

1日、「日本映画 スター・ベスト30」の特集の作品で、増村保造監督の映画『千羽鶴』(1969年、大映、96分、カラー)が上映される。 出演は京マチ子、若尾文子、平幹二朗、梓英子。 脚本は新藤兼人で、音楽が林光です。 11月プログラムからの引用…

古本まつり

「紙屋町シャレオ古本まつり」の最終日に行ってみた。賑(にぎ)わっていた。 いろいろ収穫があった。PCで見るのと違って実物を眺められ、手にとって見られるのがよい。 古書あやかしやのミステリーやSF、大阪からのイーブックスパイダー、福岡からの徘徊堂…

時雨るゝや軒に日残る干大根

1日、曇り空、気温が上らず最高気温16℃、朝の最低気温が10℃である。 午後八時頃から時雨(しぐれ)るが、じきに晴れ西の空には星が見えた。 東の空では月が雲に見え隠れしていた。 街路樹のトウカエデの紅葉が進んでいる。樹木の周辺は落葉の色で華やか…

「あなたが選ぶスターベスト30」から2

10月27日に掲載した第32位〜第64位のつづきです。 「あなたが選ぶスター・ベスト30」 68位〜100位 順位 名前 得票数 68 加賀まりこ 9 68 佐分利信 9 68 野添ひとみ 9 68 松坂慶子 9 68 桃井かおり 9 73 久我美子 8 73 田…

「あなたが選ぶスターベスト30」から

10月19日に掲載した第1位〜第30位のつづきです。 「あなたが選ぶスター・ベスト30」 32位〜64位順位 名前 得票数 32 淡島千景 18 32 仲代達矢 18 34 市川右太衛門17 34 勝新太郎 17 34 高橋英樹 17 34 月丘夢路 17 3…

映画『一本刀土俵入』

25日、「日本映画 スター・ベスト30」の特集から、安田公義監督の映画『一本刀土俵入』(1960年、大映、72分、カラー)を観る。 出演は、長谷川一夫、菅原謙二、月丘夢路、沢村宗之助。撮影が本多省三である。 10月プログラムより引用。 力士の…

草の家に柿十一のゆたかさよ

23日は二十四節気のひとつ霜降であったが、霜はまだ見られない。 秋晴れの日がつづく。青空が夏に比べて濃い青色である。 今日は最高気温21℃、最低気温10℃。温度差が10℃もある。 霜降の頃の、七二候は、「麦まく、柿実る」となっている。 柿が実る時…

映画『風流深川唄』

19日、「日本映画 スター・ベスト30」の特集から、山村聰監督の映画『風流深川唄』(1960年、東映、87分、カラー)を観る。 出演は美空ひばり、鶴田浩二、杉村春子、山田五十鈴。 10月プログラムより引用。 「蟹工船」「黒い潮」などで監督にも…

『井月句集』のこと

快晴で最高気温22℃、最低気温11℃。 公園の池に睡蓮が咲いていた。まだ咲いているとは! 今朝の新聞の本の広告で、新刊に『井月句集』が載っていた。 岩波文庫で、復本一郎・編での刊行です。井月句集 (岩波文庫)作者: 井上井月,復本一郎出版社/メーカー:…

「日本映画 スター・ベスト30」

今月(10月)から12月にかけて「日本映画 スター・ベスト30」という特集は、夏に映像文化ライブラリーが実施した観客へのアンケートで「あなたが選ぶスターベスト30」は、つぎのようになっています。 HPを参照すると、 第1位〜第30位 順位 名前 …

『多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ』

17日、「日本映画 スター・ベスト30」の1本、小沢茂弘監督の『多羅尾伴内 七つの顔の男だぜ』(1960年、東映、87分、カラー)を観た。脚本は比佐芳武。 出演は片岡千恵蔵、中原ひとみ、江原真二郎、中山昭二、佐久間良子、山形勲。 プログラムに…

『鞍馬天狗 角兵衛獅子』

今月(10月)は、映像文化ライブラリーが開館30周年を記念して、「日本映画スター・ベスト30」が10月から12月にかけて上映される。 その初日、12日、大曽根辰夫監督の映画『鞍馬天狗 角兵衛獅子』(1951年、松竹、91分、白黒)を観た。原…

最高峰にのぼる5

タイの最高峰ドーイ・インタノンへの登山隊の隊員は、カレン族の輸送隊のあとを歩き、植物を採集し、アスマン寒暖計で温度、湿度をはかり、光度計で林内の受光量を測定し、写真を撮る。 隊員の一人は銃をかついで、腰に弾帯をまいている。 《二三〇〇メート…

最高峰にのぼる4

翌日は、登山隊はなおも深い谷をのぼりつづけた。 《すっかり黄葉した落葉性の広葉樹にかわって、しだいに常緑広葉樹がふえてきた。景観は、だんだん緑が濃くなり、見かけの季節は、秋から夏にかわってきたようだ。 高さが加わるほど緑が多くなるというのは…

最高峰にのぼる3

タイの最高峰ドーイ・インタノンに登る登山隊は、ベースキャンプのメー・ホーイの村で、ウマを傭(やと)う。 だがやってきたのは、 《四日の午後、ウマが着いた。わたしたちの傭うウマである。六頭来た。みんな小さいウマだ。一頭だけがほんとうのウマで、…

最高峰にのぼる2

梅棹忠夫著『東南アジア紀行』の「第8章 最高峰にのぼる」は、タイの最高峰ドーイ・インタノンに総勢九名の隊員での登山である。そのうち六名が日本側隊員、タイ側が三名である。 冬の一月二日から登りはじめた。 《最高峰といっても、海抜二六〇〇メートル…

最高峰にのぼる

8日は、二十四節気のひとつ寒露である。 午前5時15分ごろ、外へ出てみると、オリオン座が南中していた。 月は天高く下弦の月であった。おうし座のアルデバラン、おおいぬ座のシリウスが明るく輝いている。 「冬のダイヤモンド」と呼ばれる六角形をたどり…

月の夜の落栗拾ひ尽しけり

川を渡っていると、静かな水面から魚がぴよーんと大気中へ飛び出して来た。水面でぴよーん、ぴよーんと三段跳びする光景に驚く。他の通行人も突然の魚の出現に呆気にとられていた。 朝晩は肌寒かった。最低気温17℃、最高気温27℃。まだ昼は夏日である。 …

映画『ミー・マイセルフ 私の彼の秘密』

「タイ映画特集」で上映の1本、ポンパット・ワチラバンジョン監督の作品『ミー・マイセルフ 私の彼の秘密』(2007年、タイ、110分、カラー)を観る。 原題は、ME MYSELF。 出演は、アナンダ・エヴァリンハム、チャーヤナン・マノーマイサンティパー…

映画『メモリー 君といた場所』

「タイ映画特集」の1本、ヘーマン・チェータミー監督の作品で『メモリー 君といた場所』(2006年、タイ、105分、カラー)を観る。 原題はThe Memory。 出演は、ラッタプーム・トーコンサップ、ポーラ・テイラー、イード・ポーンラーンサオーン。 「…

映画『ヌーヒン バンコクへ行く』

3日より、「タイ映画特集」が上映されている。 4日、タイの人気漫画を原作にしたコメディ映画で、コングリット・ドゥリウーモン監督の作品『ヌーヒン バンコクへ行く』(2006年、タイ、99分、カラー)を観る。 原題は、Noohin The Movie。 出演は、…

「転々私小説論」を読む4

多田道太郎の「転々私小説論」(三)「飄逸の井伏鱒二」で、安岡章太郎著『わたしの20世紀』の「おおらかな貧しさ」の章に、小津安二郎の映画『東京の合唱』と井伏鱒二の「先生の広告隊」との類似にびっくりした経緯が述べられている。 それで、『わたしの…

「転々私小説論」を読む3

多田道太郎の「転々私小説論」(三)「飄逸の井伏鱒二」で、山中貞雄の映画についてふれています。 昭和五年前後の大不況の時代は、流行の風俗として見れば、どのようなものだったのか。 多田さんの話はつづきます。 当時、昭和一けた台のはやりの風俗として…

「転々私小説論」を読む2

多田道太郎の「転々私小説論」(三)「飄逸の井伏鱒二」で、小津安二郎の映画『東京の合唱(コーラス)』(1931年)と井伏鱒二の小説「先生の広告隊」について、《同時代に起こっている現代風俗として映画と小説で描いたわけです。これは現代の奇跡だと…