2014-01-01から1年間の記事一覧

ニッポン周遊記

新刊で、池内紀著「ニッポン周遊記」(青土社)に注目する。 参照:http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791767779 「ニッポン発見記」や「ひとり旅は楽し」の系譜の本ではなかろうか。ニッポン周遊記 ―町の見つけ方・歩き方・つくり方作者: 池内紀出版…

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』を読む4

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』の「第十章 破滅前夜の宴」が、1940年の二本のSF的作品としてマキノ正博監督の映画「続清水港」と山本嘉次郎監督の映画「孫悟空」前後篇の二本を採り上げています。*1 山本嘉次郎監督の映画「孫悟空」前後篇は榎…

ありきながら桑の実くらふ木曽路かな

晴れる。最高気温28℃、最低気温18℃。風が乾いている。 夏山に、イチジクのようなモノを見た。 枝に名札が付いている。 MORACEAE クワ科 Ficus erecta イヌビワ 樹高は5メートルほどで、ビワの仲間ではなく、イチジクの仲間のようです。 クワ科の落葉低…

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』を読む3

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』の「第十章 破滅前夜の宴」に、1940年の二本のSF的作品を採り上げています。 一本目は、マキノ正博監督の映画「清水港代参夢道中」(「続清水港」改題短縮版)(1940年、日活、89分、白黒)についてです。 …

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』を読む2

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』の「第五章 楽しき哉! 個人映画」は、いろいろ参考になりました。 昨年の12月に、全国巡回の「蘇ったフィルムたち〜東京国立近代美術館フィルムセンター復元作品特集」という上映会で、個人映画作家のパイオニアとい…

高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』を読む

3月の新刊で、高槻真樹著『戦前日本SF映画創世記』を読んだ。 「第四章 ノンセンス喜劇作家、斎藤寅次郎」、「第五章 楽しき哉! 個人映画」 荻野茂二「百年後の或る日」、「第十章 破滅前夜の宴」 円谷英二、奮闘す、に注目した。 第四章では、斎藤寅次…

映画「グランド・ブダペスト・ホテル」

先日、雨上がりのハスの葉に丸く水滴が残っていた。 梅雨(つゆ)入りしてアジサイの花が咲く季節になっている。 9日、ウェス・アンダーソン監督の映画「グランド・ブダペスト・ホテル」を観た。 公開日が6日である。観客は多い。 スリリングなミステリー…

眠らばや落ち葉を払うことなかれ

先日のNHKのカルチャーラジオ日曜版の「人間を考える〜父の想い出(1)中村メイコ」という番組で、中村正常の言葉で、「眠らばや落ち葉を払(はら)うことなかれ」という話に興味を持った。 中村正常の死後、金庫の中から出て来た色紙に「眠らばや落ち葉を…

『グランド・ブダペスト・ホテル』とフリッツ・ラング

6日は二十四節気のひとつ芒種である。 最高気温24℃、最低気温20℃。曇り。 道端に、露草(ツユクサ)が咲いていた。青い花がミッキーマウスの耳のようだ。 ツユクサ科の一年草。道端に生え、高さ一五〜五〇センチ。葉は長卵形で、基部は鞘(さや)となっ…

ウェス・アンダーソン特集号

五月はさわやかでよく晴れた。絵に描いたような五月晴れであった。 今月(6月)に入ってどんよりと梅雨空になるが、晴れ間もある。 睡蓮が咲き、ハスの葉に蛙が姿を、糸トンボもハスの葉に姿を見せている。 今月(6月)の新刊で、池内紀著『 ニッポン周遊…

「父の想い出・父を語る」とテレビジョン放送

昨夜、NHKのカルチャーラジオ日曜版の「人間を考える〜父の想い出(1)中村メイコ」という番組があった。中村正常についての話がとても興味深かった。 「父の想い出・父を語る」と題して、その第一回が中村メイコさんの出演であった。 幼い頃に父から受けた…

新藤兼人監督の映画『悪党』のこと

新藤兼人監督の映画『悪党』(1965年、近代映画協会、東京映画、119分、白黒)を観たあとに、手にとって見たのが、新藤兼人著『三文役者の死』だ。岩波書店の同時代ライブラリーのために書き下ろしたものだ。新藤さんが小野民樹編集氏のすすめによっ…

新藤兼人監督の映画『悪党』

4月、5月は時代劇特集であった。 新藤兼人監督の映画『悪党』(1965年、近代映画協会、東京映画、119分、白黒)を観る。 シナリオは新藤兼人、撮影を黒田清己、音楽が林光である。 出演は、岸田今日子、小沢栄太郎、乙羽信子、木村功、殿山泰司、宇…

蛙と芭蕉密偵説

曇り、最高気温25℃、最低気温18℃。 公園の池に蛙が姿を見せている。 先日からは、糸トンボも池に現れた。ハスの葉の縁(ふち)にいた。 『波』2014年5月号の連載、嵐山光三郎の「芭蕉という修羅」第14回は「古池に蛙飛びこむ、二十番勝負(前篇)…

「ウルトラ女学生読本」のこと

公園の梅の木は、一面に初夏の若葉で包まれている。 葉の色とそっくり同じ色の実が見つかる。梅干や梅酒をつくれる実になるのに、もうしばらく時が必要だ。 「青梅も十三七つ月よ哉」 小林一茶の俳句で、文化九年の句。 聞き手が三國一朗による「証言・私の…

ラハイナまで来た理由

21日は、二十四節気のひとつ小満であった。 陽気が一段と増して、草木がしげり天地に満ちる頃になった。 昆虫も盛んに活動しているのが見られる。 モンシロチョウが花の終わったツツジに飛んで来ていた。翅(はね)に黒い紋がある。 シロチョウ科のチョウ…

徂(ゆ)く春の人の名とへばぽん太とぞ

大正六年(1917)の芥川龍之介の俳句に、「春寒や竹の中なる銀閣寺」という句があります。 年譜を見ると、大正六年四月十一日から十六日まで京都に旅行している。 四月の中旬ごろの京都は、まだ肌寒い日のある時期ですね。 「春寒や竹の中なる銀閣寺」 …

夏山やうす日のあたる一ところ

晴れる。最高気温26℃、最低気温16℃。さわやかで気持のよい風が吹く。 公園の池に睡蓮が咲いていた。蛙の声は聞こえず、池には静かな水面が広がっている。 「夏山やうす日のあたる一ところ」 芥川龍之介の俳句で、大正十一年の句である。 前書きに、「加…

溝口健二監督の映画『元禄忠臣蔵 前篇』

「時代劇特集2014」で上映された作品の一本、溝口健二監督の映画『元禄忠臣蔵 前篇』(1941年、興亜映画、松竹京都、112分、白黒)を観る。 昭和16年公開の作品である。 出演は、河原崎長十郎、中村翫右衛門、河原崎國太郎、三浦光子、小杉勇。…

山中貞雄監督の映画『丹下左膳余話 百萬両の壺』

「時代劇特集2014」で上映作の一本、山中貞雄監督の映画『丹下左膳余話 百萬両の壺』(1935年、日活太秦、91分、白黒)を観る。 出演は、大河内傳次郎、喜代三、宗春太郎、澤村國太郎、高勢実乗、鳥羽陽之助。 5月プログラムに、 悲壮感あふれる…

中川信夫監督の映画『東海道四谷怪談』

今月(5月)の「時代劇特集2014」で上映された中川信夫監督の映画『東海道四谷怪談』(1959年、新東宝、77分、カラー)を観た。 出演は、天知茂、若杉嘉津子、池内淳子、北沢典子、江見俊太郎、大友純。制作は大蔵貢。 鶴屋南北の「東海道四谷怪…

追悼・教養三日論者2 「新宿の王家の谷」

種村季弘著『晴浴雨浴日記』に収録されているエッセイで、松山俊太郎氏が登場するエッセイが、「教養三日論者」の他にもうひとつありました。 「新宿の王家の谷」という「新宿TODAY」1986年11月号、未来文化社に初出のエッセイです。 法会の帰り…

追悼・教養三日論者

12日、松山俊太郎氏の訃報を知りました。 朝日新聞の記事によると、《「澁澤龍彦全集」の編集に携わり、ハスについての研究でも知られる。著書に「綺想礼讃」「インドを語る」など。》と簡単なものです。 『綺想礼讃』は国書刊行会から刊行されています。 …

人生は喜劇的でなければなりません

晴れて乾燥している。最高気温21℃、最低気温11℃。 花の蜜を求めて昆虫が盛んに飛び回っている。 クローバーの蜜を集めている蜜蜂に、後の脚の先に丸い団子が付いている。これは、何だろう? 花粉の団子でしょうか。 中村メイコ著『メイコめい伝』で中村…

河童の供養句つづる立夏かな

5日、二十四節気のひとつ立夏であった。晴れる。最低気温15℃、最高気温19℃。 公園の池に睡蓮がつぼみをつけている。だが、蛙が一匹も見られない。 空気が乾燥しているからか、両生類の蛙は大気の乾燥が苦手のようだ。 池は沈黙の水面が広がっている。 …

内田吐夢監督の映画『大菩薩峠 完結篇』

中里介山の大長編小説「大菩薩峠」に挑んだ映画『大菩薩峠』三部作で、内田吐夢監督の映画『大菩薩峠 完結篇』(1959年、東映京都、105分、カラー)のポスターです。 「時代劇特集2014」のパンフレットに、 神尾主膳は、甲府の城下で机竜之介に辻…

内田吐夢監督の映画『大菩薩峠 第二部』

内田吐夢監督の映画『大菩薩峠』(1957年、東映京都、119分、カラー)の続編の『大菩薩峠 第二部』(1958年、東映京都、105分、カラー)のポスターです。 「時代劇特集2014」のパンフレットに、 宇津木文之丞の弟・兵馬は、兄の仇を討つた…

内田吐夢監督の映画『大菩薩峠』

「時代劇特集2014」が今月(5月)も開催される。 内田吐夢監督の映画『大菩薩峠』(1957年、東映京都、119分、カラー)を観る。 出演は、片岡千恵蔵、中村錦之助、大河内伝次郎、長谷川裕見子、丘さとみ、月形龍之介、山形勲、左卜全。 脚本は猪…

梅の木の心しづかに青葉哉

目には青葉山ほととぎす初鰹(はつがつお)。 もうすぐ立夏である。 サクランボウや梅が実っていた。初夏の若葉のころに吹く風が、さわやかで気持ちよい。 「梅の木の心しづかに青葉哉」 小林一茶の俳句で、寛政四年の句である。 もう一句、「とぶ蝶(てふ)…

ホセ・ルイス・ゲリン監督の映画『ゲスト』

「ホセ・ルイス・ゲリン映画祭」で上映されたうちの一本。 ホセ・ルイス・ゲリン監督の映画『ゲスト』(2010年、スペイン、133分、白黒)を観た。 映画祭パンフレットより。 世界中の映画祭に招待された「シルビアのいる街で」。映画と共に数多くの国…