2016-01-01から1年間の記事一覧

印象的だった作品

第16回広島国際アニメーションフェスティバルの最終日、表彰式・閉会式の後に受賞作品の上映会があった。 印象的だった作品を挙げると、 観客賞のナターリア・チェルニェソヴァ監督の『ザ ゴッサマー』(ロシア)4分4秒。 国際審査委員特別賞のユリア・…

クリ・ヨウジ展『クレージーマンガ』

第16回広島国際アニメーションフェスティバルに出かける。 1階の「アート・アニメーションのちいさな学校」のコーナーに、映画「セシウムと少女」のポスターが貼ってあり、パンフレットも展示されていた。 映画は19日に上映された。 クリ・ヨウジのマン…

新刊の「ちちんぷいぷい」

『中央公論』8月号に掲載のタイトルが《「ちちんぷいぷい」が描く東京の町と人》は、『ちちんぷいぷい』を書いた筆者の松山巌さんと中野翠さんの対談。 東京の戦後復興期の空き地と土管のある風景、東京タワーの建設される時代を住民として見ていた松山巌さ…

中盆や後山の雲に人行かず

街路樹のナツメの木が、黄緑色の実が黄色味を帯びて来ていた。 残暑が厳しい。連日、35℃を越える猛暑日です。 「中盆や後山の雲に人行かず」 「かたつむり南風茱萸(ぐみ)につよかりき」 「水あかり蝸牛巖を落ちにけり」 飯田蛇笏の俳句で、昭和十一年(…

『イワナとヤマメ』2

今西錦司著『イワナとヤマメ』を読んでいる。 今西錦司は1930年ごろ、日本アルプスの鹿島川のイワナについて、すこし調べたことがあるそうだ。 かれらの食生活を調査したのである。 四月のはじめと十月のはじめに調べた。 その結果、四月のほうは、全食…

『イワナとヤマメ』

夏の読書に、『イワナとヤマメ』という本を読んでいる。 渓流釣りが生涯にわたる趣味であるとともにフィールドワークでもあった今西錦司の魚文集である。論考と随筆が収録されている。 「ヤマメ釣り」「中国地方のイワナ探検」「イワナ探検その後」などの文…

最先端の登山思想

7日は、二十四節気のひとつ立秋であった。晴れて、最高気温35℃、最低気温27℃。 今月の11日が「山の日」という祝日になるそうだが、「ちくま」2016年8月号の「もしかして最先端の登山思想」(服部文祥)を読んだ。 ちくま文庫『増補 サバイバル!…

ブザー鳴る夜半の銀河の行方かな

街路樹のプラタナスの幹にクマゼミが鳴いている。 翅(はね)が透明だ。体は黒っぽい色をしている。 観察しているクマゼミは鳴いていないので、メスのようだ。 半翅(はんし)目セミ科の昆虫。体長約五センチ、翅(はね)の端まで約六・五センチ。光沢のある…

「ミュージック・イン・ブック」を聴く

夜、NHKラジオの番組で、「ミュージック・イン・ブック」を聴く。 今回は「リスナーから寄せられたお気に入りの小説とそれにまつわる音楽」と題して放送された。司会の松浦寿輝氏によって音楽と文学のエピソードが語られる。 放送された曲は、 山下達郎の…

かつ動く額の汗のきらりとす

連日、うだるような熱波の日がつづく。 昨日の夕方、にわか雨があった。雨の中、街路樹の上が蝉時雨(せみしぐれ)であった。 見上げるとアブラゼミが仲間で集まり鳴いているのだった。 「三越を歩き呆けや花氷」 「かつ動く額の汗のきらりとす」 昭和十年(…

バスター・キートンの映画『キートン将軍』

昭和のはじめ頃の映画には音がありませんでした。日本では、話芸の伝統を受け継いで、巧みな語り口で映画を説明する「活弁」が発達し、活動弁士は映画館のスターとして人気を集めました。弁士の語りによって、映画は新たな輝きを放ちます。この機会に、ぜひ…

映画『シュトロツェクの不思議な旅』

16日、ドイツのニュー・ジャーマン・シネマを代表する作家の「ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集」からの一本、『シュトロツェクの不思議な旅』(1976年、ドイツ、108分、カラー、デジタル・リマスター版)を観る。 シュトロツェクはベルリンの刑務…

映画『カスパー・ハウザーの謎』

今月(7月)は、ドイツのニュー・ジャーマン・シネマを代表する作家の「ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集」が映像文化ライブラリーで開催された。 15日、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の映画『カスパー・ハウザーの謎』(1974年、ドイツ、109分、…

種村季弘と山口昌男の対談から

先日、古書店で入手した雑誌「ユリイカ」1976年8月号を読む。 特集・映画の美学。 種村季弘と山口昌男の対談「映画神話の構造」に、大都映画の女優大山デブ子について語っている箇所があった。 一部引用すると、 山口 イタリアはそうじゃないと思うね。…

突風の涼しさは子の高笑ひ

二十四節気のひとつ大暑である。 梅雨明け宣言が18日に出てから連日の、真夏日がつづく。 炎天下、公園でショウジョウトンボがハスの葉にとまっていた。 緑陰に吹く風が涼しい。 「涼風の裂くばかりなる頁読む」 「突風の涼しさは子の高笑ひ」 「隣席の扇…

すひかづらたまの揚羽の長くゐず

18日、梅雨明け宣言が出た。青空で陽射しが強い。最高気温31℃、最低気温23℃。 19日、青い夏空がつづく。クマゼミは早朝から鳴きはじめる。最高気温32℃、最低気温24℃。梅雨明けの吹く風は湿度が低い。木陰に入ると爽やかである。 公園の池に、全…

女優・大河百々代と大山デブ子のこと2

八代毅監督の1938年の大都映画『争闘阿修羅街』(36分、白黒、無声)に出演している女優の大山デブ子に付いて参考になる箇所がありました。 佐藤忠男著『喜劇映画論』に、映画における笑いの「意味」について論じる箇所です。 人間がやることでいちば…

女優・大河百々代と大山デブ子のこと

3月に映像文化ライブラリーで開催された映像と音楽の共演「サウンド・アンド・サイレント」という上映会でサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんの演奏で、八代毅監督の1938年の大都映画『争闘阿修羅街』(36分、白黒、無声)を観ました。昭和13…

PR誌のこと

公園の池に寄る。梅雨空で湿度が高い。 ハスの枯れ枝の先にはチョウトンボがとまっていた。 チョウトンボの翅(はね)の光沢が綺麗だ。 ハスの葉にはクロイトトンボが眺められた。 昆虫の活動が活発である。 先日、大型書店で「ブンイチ」2016年Vol.…

「ミュージック・イン・ブック」を聴く

夜、NHKラジオ番組の「ミュージック・イン・ブック」を聴く。 第1回「自作をめぐる音楽」と題して、今週のゲストは北方謙三さんである。司会は松浦寿輝。 北方さんの好きなジャズ音楽をめぐる談話と音楽が放送される。 一曲目は、「八月の濡れた砂」(3…

峡(かひ)の白鷺夕日はものを細うなす

遠浅の浜に白い鳥が歩き回っている。 近くまで寄って行ったのだが、白い鳥は人の気配に平然としている。 餌を探している。頭に冠羽が見られない。くちばしは黒い。 コサギかと思い調べると、くちばしと眼の位置から、夏鳥のチュウサギ(中鷺)のようだ。 「…

対談「アメリカから遠く離れて」2

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』の対談「アメリカから遠く離れて」は、瀬川昌久×蓮實重彦の両氏の対談である。(司会=大谷能生)。 「ジャズと映画をめぐって」という副題が付いている。 対談での「ヌーベルバーグとモダン・ジャズ」の箇所で、M…

対談「アメリカから遠く離れて」

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』から、「モダン・ジャズの巨匠 ジョン・ルイス」(一九六三年十二月『スイングジャーナル』掲載)、対談「アメリカから遠く離れて 瀬川昌久×蓮實重彦」(司会=大谷能生)を読む。 対談「アメリカから遠く離れて」…

炎天や早や焼土とも思はなく

街路樹のナツメやノグルミの樹が実をつけている。 ノグルミやナツメの実が鈴なりである。 最高気温31℃、最低気温23℃。 「炎天や假(か)りに設けし出札所」 「炎天や早や焼土とも思はなく」 「梅雨の土間人を待たせて片寄せて」 三句の前書きは、「戦災…

茅舎忌の大気無盡の風信機

27日、晴れ、最高気温31℃、最低気温21℃。 気温が高いが、乾燥した風で爽やかだ。 28日、曇る。最高気温24℃、最低気温21℃。 公園の池にハスの葉が大きく育ち、葉の上に水滴が見られた。 浮いている睡蓮の葉に、水色の節(ふし)が二つ見られるク…

ルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』

「ルイ・マル監督特集」で、『死刑台のエレベーター』(1957年、フランス、92分、白黒)を観る。 音楽・マイルス・デイヴィス。 出演、ジャンヌ・モロー、モーリス・ロネ、ジョルジュ・プージュリー。 社長夫人と不倫関係にある男が、社長を殺す完全犯…

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』を読む

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』を読む。 副題が、「チャーリー・パーカーとビッグ・バンドと私」とある。 先日の「月丘夢路特集」で、井上梅次(うめつぐ)監督の映画『夜の牙』(1958年、日活、102分、カラー)を観たのだが、主人公の医…

ルイ・マル監督の映画『好奇心』

今月(6月)は、「月丘夢路特集」の後に「ルイ・マル監督特集」が開催される。 フランスのヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、ルイ・マル。今回の特集では、監督デビュー作となる「死刑台のエレベーター」やヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した「恋人たち…

睡蓮の葉の押さへたる水に雨意

21日、二十四節気のひとつ夏至である。 太陽が北にもっとも寄り、一年中で昼がもっとも長い日である。 晴れる。最高気温27℃、最低気温22℃。 雨上がりの公園の池へ寄る。ハスの葉に雨のしずくが残っていた。 ハスの枯れ枝の先に、チョウトンボが止まっ…

井上梅次監督の映画『夜の牙』

「月丘夢路特集」から井上梅次(うめつぐ)監督の映画『夜の牙』(1958年、日活、102分、カラー)を観る。 出演、石原裕次郎、月丘夢路、浅丘ルリ子、岡田真澄、森川信。 主人公の医師・杉浦は、知らぬ間に戸籍を抹消されていた。真相を探る杉浦の前…