2019-01-01から1年間の記事一覧

夏の蝶忘れたるほど風に耐え

晴れ、夜半に雨になる。最高気温32℃。 サツキ(五月)の花に揚羽蝶(アゲハチョウ)が舞っていた。 花から花へひらひら移動する。頭を花びらへ埋めるようにして蜜を吸っていた。 アゲハチョウ科のチョウ。翅(はね)の開帳八~一二センチ、黄色に黒色のす…

カリン(花梨)と書評

カリン(花梨)の実が鈴なりになっている。 バラ科の落葉高木。高さ約八メートル。樹皮は緑色を帯びた褐色。葉は卵形。春、淡紅色の五弁花が咲く。実は卵円形で黄色に熟し、香りがあり、生食はできないが菓子の材料にし、また、漢方で木瓜(もっか)といい、…

花桃とそぞろ歩き対談

ハナモモ(花桃)の実が見られる。指でつまむと硬い。桃の実より小さくて、大きさと形が梅に似ている。花期は三月中旬から四月上旬の頃。 「望星」という雑誌の6月号を手にとってみると、対談「にっぽん そぞろ歩き」が載っていた。 三ヵ月に一度の紙上対談…

ハナショウブと書店のこと

ハナショウブが見ごろだ。紫色が鮮やかである。 アヤメ科のノハナショウブから改良した園芸種。葉は剣状で中脈が隆起する。五、六月ごろ、紫色・白色・絞りなどの大きな花を開く。江戸時代から改良が始まり、品種が多い。栽培地は四~九月に水があり、他は乾…

紫陽花の藍きはまると見る日かな

紫陽花(アジサイ)の花が咲きだした。 黒くて大きなクマバチ(熊蜂)が蜜を求めて飛び回っている。 近くで観察しても熊蜂は人を刺すこともなく、花から花へと移っている。 「紫陽花の藍きはまると見る日かな」 昭和十四年(1939年)の中村汀女の俳句で…

『吉田健一ふたたび』を読む2

カルミアの花が見ごろだ。辞典の説明のように、花びらが絵日傘に似ている感じがする。つぼみは、金平糖(こんぺいとう)に形が似ている。 ツツジ科の常緑低木。葉は長楕円形で厚い。初夏、淡紅色の花を散房状につけ、花びらは浅く五つに裂けていて、絵日傘に…

『吉田健一ふたたび』を読む

川本直/樫原辰郎編『吉田健一ふたたび』を読む。 口絵1ページから5ページまでの写真は樫原辰郎氏の撮影によるものだ。 四ページにわたって、書斎の写真が見られる。 愛用していたスミス・コロナ社のタイプライター。これは、英文を打つためのタイプライタ…

復刻掲載・特別対談

「ユリイカ」5月臨時増刊号が橋本治特集号であった。 他にも雑誌各誌が追悼・特集をしている。 新潮社のサイトで、浅田彰と橋本治の「新潮」2007年8月号の対談を読んだ。 橋本治と浅田彰の両氏の談話が興味深く面白い。「Webでも考える人」 編集長・松…

すごい古書店変な図書館

サツキ(五月)の花が咲きはじめています。ツツジの花より小ぶりですね。葉も小さく艶(つや)があります。雄しべが五本、先が上向きになっている。 ツツジ科の常緑低木。関東以西の河岸の岩上などに自生。初夏、枝先に紅紫色の花をつける。観賞用で、多くの…

イロハカエデと『女給』のこと

晴れる。最高気温23℃、最低気温14℃。 イロハカエデが風に吹かれてゆれている。 イロハカエデの実のプロペラ状の羽が紅色に色づいていた。 カエデ科の落葉高木。関東以西の山地に自生。葉は手のひら状に五~七つに裂け、秋に紅葉する。花は春につけ、暗紅…

アヤメの花と対談のこと

雷雨が正午ごろにあった。雨上がりは植物がみずみずしい。 紫色のアヤメが満開になっています。葉は細長い。 アヤメ科アヤメ属の多年草。日当たりのよい乾燥した草地に生える。高さ三〇~六〇センチ。葉は細長く剣状。初夏、花茎の先に、付け根に網目模様の…

すがすがし薄色つつじセルの人

ヒラドツツジ(平戸つつじ)が、今ちょうど満開だ。四月から五月に咲く。ゴールデンウィークの花と呼ばれているようだ。ツツジ科ツツジ属。花が大きく、密集して咲いている。 「すがすがし薄色つつじセルの人」 松本たかしの昭和十三年(1938年)の句で…

古庫のかたへの実梅(うめ)を今もげる

最高気温24℃、最低気温17℃。曇り。 梅の実が膨らんできています。 バラ科の落葉高木。葉は卵形で縁に細かいぎざぎざがある。早春、葉より先に、白・淡紅・紅色などの香りの強い花を開く。実は球形で、六月ごろ黄熟し、酸味がある。未熟なものは漢方で烏…

伏す犬の尾強く巻ける牡丹かな

牡丹(ぼたん)の花が満開で見ごろです。 ボタン科の落葉低木。高さ一~二メートル。葉は大きく、羽状複葉で、互生する。五月ごろ、白・紅・紫・黄色などの花が咲く。花びらは五~八枚あるが、重弁や二段咲きなどさまざまな園芸品種があり、寒牡丹もある。根…

田坂具隆監督の映画『月よりの使者』

2018年10月28日の「活弁シアター」は、活動弁士・澤登翠さんを迎えて1934(昭和9)年の無声映画『月よりの使者』が映像文化ライブラリーで上映された。上映前に学芸員の解説と澤登翠さんと演奏者の紹介などがあった。 「活弁シアター」のパンフ…

後藤明生の『この人を見よ』から2

西洋シャクナゲの花が咲いています。薬用で、毒性があるので注意とのこと。 後藤明生の小説『この人を見よ』は、後半、芥川龍之介と宇野浩二の関係や中野重治の年譜をたどりながら話をすすめて中途で終っている。未完の長篇小説です。 巻末に、「付録 イエス…

後藤明生の『この人を見よ』から

ヤエザクラ(八重桜)が満開です。うっすらと紅色の花びらが青空に映えている。 後藤明生の小説『この人を見よ』を読んでいます。 「海燕」一九九〇年一月号から一九九三年四月号に連載された未完の長篇小説「この人を見よ」を単行本化した本です。 本文タイ…

多川精一著「戦争のグラフィズム」を読む2

ミツバツツジが咲いている。淡い紫の花が横向きで雄しべが五本、先が上向きになっている。 ツツジ科の落葉低木。関東・中部地方の山地に自生。葉は菱形に近い卵形で、枝先に三枚ずつつく。四、五月ごろ、葉の出る前に紫色の漏斗状の花を横向きに開く。庭木に…

多川精一著「戦争のグラフィズム」を読む

ホンキリシマ(本霧島)の花が咲き始めている。大きさは三センチほどの径で濃く明るい赤が鮮やかだ。葉は丸みのある楕円形で花びらよりは小さい。 多川精一著「戦争のグラフィズム」を読む。 副題が、回想の「FRONT」。 目次 序章 一九四一年秋1 ふた…

『昭和時代』から3

最高気温17℃。快晴で乾燥した風が吹く。爽やかだ。アセビ(馬酔木)の花が、房状に垂れ下がって咲いている。 ツツジ科の常緑低木。乾燥した山地に自生。早春、多数の白い壺(つぼ)形の花が総状につく。有毒。 『大辞泉』 中島健蔵著『昭和時代』のシンガ…

『昭和時代』から2

リキュウバイ(利休梅)の白い花が青空を背にして満開です。 中島健蔵著『昭和時代』からの覚え書き。 大阪駅の近くのホテルに、一ヵ月あまりも軟禁されて、シンガポールが陥落したという発表があるとまもなく、広島まで列車で運ばれ、その次の日の夜明け前…

『昭和時代』から

公園の桜、ソメイヨシノが満開になり風にゆれている。記念撮影をする人が多い。 バラ科の落葉高木。エドヒガンとオオシマザクラの雑種といわれる。葉は広い倒卵形。四月ごろ葉より先に、淡紅色から白色となる花が咲く。広く植栽され、木の生長は早いが寿命は…

桜舞う季節

朝は6℃ほどだった。午後は風向きが南に変わり気温は20℃近くまで上がった。夕方にかけて西から北へと風向きが変わる。桜の開花が進んでいる。強風にあおられたソメイヨシノの花びらと枝がゆらゆらと揺れていた。 『波』3月号に山下洋輔氏の新刊へのインタ…

鈴木清順監督の映画を観る

今月は鈴木清順監督(1923ー2017)の特集を開催します。 鈴木清順監督は、松竹で助監督を務めた後、日活に移籍し、1956年に監督デビュー。日活アクションの全盛期に”清順美学”とも呼ばれる独特の演出でプログラム・ピクチャーを彩り、「関東無宿…

マレー戦と井伏鱒二のこと

源平しだれ桃が、咲き始めています。 野崎歓著『水の匂いがするようだ』の井伏鱒二論が興味深かった。 それで、井伏鱒二のシンガポール体験をめぐる当時を知る手がかりとして、御田重宝著『人間の記録 マレー戦』を読む。前篇と後篇の二冊がある。 ウィンス…

津野海太郎著『最後の読書』について

最近、読んだ興味深かった津野海太郎著『最後の読書』についての覚え書き。 紀田順一郎氏の膨大な量の蔵書の処分をめぐる話題で、津野さんの蔵書処分の経験が参考になりました。 山田稔氏の映画を観るスタイルと津野さんの現在の映画を観るスタイルの微妙な…

追悼・橋本治

ツツジが咲き始め、椿(つばき)も咲いています。椿は葉がつやつやしていますね。 ツバキ科の常緑高木。本州以南に自生するが、関東以北では海岸地帯に点在し、ヤブツバキともいう。高さ三~七メートル。葉は楕円形で厚く、つやがある。春、赤い花をつける。…

野見山暁治の「 アトリエ日記」を読む

「美術の窓」3月号に連載の野見山暁治の「 アトリエ日記」を読む。 巻頭特集は「福沢一郎 反骨とユーモア」。 《3月12日から東京国立近代美術館で開催される「福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ」をはじめ、各地で福沢作品を紹介する展覧…

キンクロハジロ

すごく久しぶりの更新になります はてなからの通知が来て、はてなダイアリーが2月28日で終了の知らせでした。はてなダイアリーから、はてなブログへ移行する作業をしました。 移行の手順は思ったより簡単でした。 ステップ1で、記事をインポート。ステッ…