2013-01-01から1年間の記事一覧

カレル・ゼマンの「前世紀探検」

10月と11月の2ヵ月にわたる「カレル・ゼマン特集」の一本、カレル・ゼマンの『前世紀探検』(1955年、チェコ、93分、カラー)を観る。フィルムは35ミリ。 ボートに乗った4人の少年が、時間の川を遡りながら古代を冒険する。空には翼竜や始祖鳥…

カレル・ゼマンの「鳥の島の財宝」

《カレル・ゼマンはイジー・トルンカと並ぶチェコ・アニメーションの創始者であり、巨匠の1人です。ゼマンは第2次世界大戦中にチェコ・アニメーションの発祥地ズリーンを拠点に制作をはじめ、書き割りスタイルのセット、レトロなデザインの切り紙アニメー…

カレル・ゼマンのデビュー作

8日、台風が近づいている。夕方より雨になった。 9日、台風一過、晴れのち曇り。 街路樹のザクロ(石榴)がつやのある実をつけていた。 樹高は五メートルほどで枝が伸び広がっている。 葉の間からザクロの実があちこちと見え隠れしていた。 ザクロの実は、…

「創作の極意と掟」

5日、雨。最低気温18℃、最高気温21℃。急に涼しくなる。 前日までの夏のような気温から秋らしくなった。 6日と7日は晴れた。そして再び気温が31℃まで上がった。 『群像』10月号で、筒井康隆の連載「創作の極意と掟」最終回で、筆者がレーモン・ク…

映画『秋日和』

今月の特集「家族の肖像 ホームドラマの軌跡」から、小津安二郎監督の映画『秋日和』(1960年、松竹、128分、カラー)を観る。 出演は、原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓二、佐分利信、中村伸郎、北竜二、沢村貞子、三宅邦子、笠智衆、渡辺文雄、…

映画『戸田家の兄妹』と山口勇のこと

10月も9月に引継ぎ、「家族の肖像 ホームドラマの軌跡」と題した上映会を開催している。 そのうち9月に観た一本。 小津安二郎監督の映画『戸田家の兄妹』(1941年、松竹、104分、白黒)、昭和16年の松竹映画である。 出演は、佐分利信、高峰三…

映画『東京物語』を味わう

9月は、「家族の肖像 ホームドラマの軌跡」と題して家族を描いた映画の特集だった。 その中の一本。 小津安二郎監督の映画『東京物語』(1953年、松竹、136分、白黒)を鑑賞する。 撮影は厚田雄春である。 出演は、笠智衆、東山千栄子、原節子、山村…

成瀬巳喜男監督の映画『稲妻』のユーモア

26日、午前5時半過ぎ、月が南西の空に高く昇っていた。快晴である。隣り合うように東に木星が輝く。 27日、午前5時半過ぎ、快晴で天頂付近に下弦の月が見られた。左に並ぶように木星があり、南の空にはシリウスが輝く。朝の最低気温16℃。最高気温は…

志村三代子著『映画人・菊池寛』のこと

8月の新刊で、志村三代子著『映画人・菊池寛』をめぐり藤原書店のPR誌「機」8月号で、編集部・構成による志村三代子さんの刊行に寄せた文に注目しました。 一九二〇〜四〇年代、「メディア・ミックス」仕掛け人として大活躍した菊池寛とは何者か? 「文壇…

ヤスミン・アフマド監督の映画『タレンタイム』

今月(9月)、マレーシア新潮のシンボル的存在で、2009年に急逝したヤスミン・アフマド監督の映画特集があった。 上映されたのは、『ラブン』(2003年)、『細い目』(2004年)、『グブラ』(2005年)、『ムフラフ 改心』(2007年)、…

青空の本

『中央公論』2013年10月号で、武田徹氏の「時評2013」の[「青空文庫」と成仏できない本]を読む。 現在公開作品は一万点を超えるまでに成長した青空文庫の今後を、生みの親である富田倫生(とみたみちお)さんが亡くなられる直前まで、TPP絡みで…

近藤富枝著『大本営発表のマイク』のこと3

今日は中秋の名月。月見団子のお供えで月を眺める。 近藤富枝著『大本営発表のマイク』を読む。 「七章 文部省時代――悪化する戦局」に、釘本久春図書監修官と高見順のエピソードがある。 私は高見順の美貌に驚き、欠席の時は小柄なかわいい夫人がわざわざ断…

月と読書

雲ひとつない晴れた秋空がつづく。乾いた風が爽(さわ)やかである。朝晩は肌寒いくらいだ。 最低気温16℃、最高気温32℃。 彼岸花が咲きだした。鮮やかな色。 夜半に十三夜の月が眺められた。十三夜から十六夜(いざよい)までの夜の月はとりわけ風情があ…

近藤富枝著『大本営発表のマイク』のこと2

新刊の近藤富枝著『大本営発表のマイク』を読む。 近藤富枝さんの九歳から二十三歳までの自伝的な回顧録です。 「一章 昭和ノスタルジー」は、日本橋の昭和六年の初午(はつうま)の思い出から始まります。 さて初午とは二月最初に行われる稲荷祭のことで、…

近藤富枝著『大本営発表のマイク』のこと

夕方、南の空に上弦の月が眺められた。 今年(2013年)は中秋の名月が19日である。 先日、日当たりの良い道端にエノコログサが群生していた。 この草の特徴として、穂が犬の尻尾にちょっと似ている。漢字で狗尾草と書く。 よく見ると穂の中に一匹のア…

TPPでゆらぐ青空文庫

朝、NHKラジオでTPPでゆらぐ青空文庫をめぐる話を聴きました。 聞き取ったところを少し書いてみます。 先日亡くなられた富田倫生(とみたみちお)さん、青空文庫の名前を付けた人。 著作権の切れた作品を電子書籍にした。 青空文庫で電子化され、いろんな人…

ドイツビールの祭典と古本交差点

6日、映画『人生のお荷物』鑑賞の後、ドイツビールの祭典、オクトーバーフェストの野外ビアホールで映画談義。 ドイツ語の乾杯の歌Ein Prositの大きな声がステージのほうから聞こえて来る。 ビートルズの曲を何曲もドイツ人のバンド四人組が演奏し歌いだす…

映画『人生のお荷物』と渋谷実

今月は、「家族の肖像 ホームドラマの軌跡」と題した作品を映像文化ライブラリーで特集している。その中の一本。 五所平之助監督の映画『人生のお荷物』(1935年、松竹キネマ、67分、白黒)を鑑賞する。 昭和10年公開の松竹蒲田制作の映画である。上…

映画『人生、ここにあり!』

《法律により精神病院が閉鎖されたイタリアの実話をベースに、病院を出た元患者たちと労働組合員が一体となって困難を乗り越え、前向きに生きていく姿を描いた「人生、ここにあり!」を、視覚障害や聴覚障害の方もご鑑賞いただけるよう、日本語吹替え・日本…

ジャンニ・ロダーリの新刊

来月(9月)の新刊で、ジャンニ・ロダーリ著『ゼロくんのかち』(岩波書店)が出るようだ。関口英子訳である。 絵はエレナ・デル・ヴェントである。 ジャンニ・ロダーリの『青矢号』(岩波少年文庫)も関口英子訳でしたね。 他に、9月の新刊で、内堀弘著『…

「山の風物誌」から

23日は、二十四節気のひとつ処暑であった。七月末から猛暑と晴天がつづいたが、8月になって初めて曇った。 処暑とは暑さが徐々にしのぎやすくなる時期をいう。 24日は、雨が降った。最高気温28℃。涼しくはないが、30℃以下になるのは8月で初めてで…

その後の半生記

今朝の中国新聞の「月曜学芸館」で筆者の大井健地氏が、長田新編『原爆の子』(岩波書店、51年)に収録された少年・少女の手記執筆者のその後の半生記が出版されていると報告していた。 関川秀雄監督の映画『ひろしま』(1953年)は、長田新編『原爆の…

関川秀雄監督の映画『ひろしま』

7月から引き続きの「平和のシネマテーク2013」からの一本、関川秀雄監督の映画『ひろしま』(1953年、日本教職員組合映画製作委員会、104分、白黒)を観る。 出演は山田五十鈴、岡田英次、月丘夢路、加藤嘉。音楽は伊福部昭である。 8月プログ…

山本嘉次郎監督『馬』のこと

堀川弘通著『評伝 黒澤明』(ちくま文庫)を読む。 山本嘉次郎監督『馬』(1941年、東宝映画、映画科学研究所、127分、白黒)について、堀川弘通氏の記述がある。 一九四〇年入社したホヤホヤの演出助手だった年に、衣笠貞之助監督『続 蛇姫様』と中…

映画『長崎の鐘』の脚本

大庭秀雄監督の映画『長崎の鐘』(1950年、松竹、94分、白黒)を観た後に、脚本、シナリオを見る機会があった。 1950年の映画『長崎の鐘』の当時のシナリオで、謄写版印刷、ガリ版印刷でわら半紙に印刷されている。 長年の経過にもかかわらず紙の…

大庭秀雄監督の映画『長崎の鐘』

7月に引き続き、「平和のシネマテーク2013」が映像文化ライブラリーで開催されている。 大庭秀雄監督の映画『長崎の鐘』(1950年、松竹、94分、白黒)を観る。 出演は、若原雅夫、月丘夢路、津島恵子、滝沢修、三井弘次。 脚本が新藤兼人、橋田壽…

花はちす雀をとめてたわみけり

八月になっても朝晩の気温の変動幅が少なく暑苦しい熱帯夜がつづく。 2日、公園の池に寄る。ハスの花弁(はなびら)が散って、如雨露(じょうろ)のような形になっていた。 水面から伸びて先端につぼみを付けたままのハスも残っている。 そのひとつに、チョ…

松かげに鶏はらばへる暑さかな

31日、最低気温27℃、最高気温35℃。南の風、晴れ。 29日、公園の池にハスの花が散りかけていた。 白い大きな花びらの中央に花托(かたく)が大きくなっていた。 如雨露(じょうろ)のような形だ。 「松かげに鶏はらばへる暑さかな」。 芥川龍之介の俳…

俳優の天本英世のこと

堀川弘通監督の映画『激動の昭和史 軍閥』(1970年、東宝、134分、カラー)で、毎日新聞記者役の加山雄三の学生時代の恩師で冬木先生という役を天本英世が演じていた。 陸軍が反軍的だと決め付けた毎日新聞の記者(加山雄三)が懲罰的に召集された。 …

映画『激動の昭和史 軍閥』と読書

24日、「平和のシネマテーマ2013」で、堀川弘通監督の映画『激動の昭和史 軍閥』(1970年、東宝、134分、カラー)が上映された。出演、小林桂樹、加山雄三、三船敏郎、山村聰。観客が多く最前列で観る。 7月プログラムより引用。 二・二六事件…