2015-01-01から1年間の記事一覧

紫陽花に雨きらきらと蠅とべり

梅雨の花といえば、アジサイの花が見頃だ。 雨にぬれて花の色が鮮やかである。 ふと見ると、花の中心に小さな虫がとまっていた。 甲虫のようだ。 紫陽花に雨きらきらと蠅とべり 飯田蛇笏の句集『霊芝』の昭和十一年(1936)の俳句です。

『繁栄の昭和』

16日、梅雨の晴れ間に美しい梅の実を見た。ほんのりと黄色く色付いていた。 17日、晴れる。南西の風が吹く。最高気温27℃、最低気温18℃。 夜、NHKラジオの番組で「ミュージック・イン・ブック 音楽と文学の交差点」を聴いた。 司会が松浦寿輝で、毎回…

苔庭の夜あさき雨に金魚玉

15日、梅雨の晴れ間で気温が上がる。最高気温28℃、最低気温21℃。 この時期、公園の池にクロイトトンボが見られる。 夏至を迎えるころまでによく見かけるトンボである。 大きなハスの葉にとまっていた。近寄って観察しても逃げる様子もなく葉にとまって…

『ぼくの特急二十世紀』3

双葉十三郎著『ぼくの特急二十世紀』の「第2章 雑誌『新青年』はよかったな」では、雑誌『新青年』について語られる。 《雑誌だと、中学二、三年のころから『新青年』の熱烈なファンになりました。『新青年』は大震災のちょっと前、たしか一九二〇(大正九…

『ぼくの特急二十世紀』2

双葉十三郎著『ぼくの特急二十世紀』の「第一章 立川文庫と連続活劇の時代」に、 《幼いころのぼくが映画好きになったのは、アメリカの連続活劇と日本の忍術チャンバラ映画のおかげです。(中略)そうして見たのが、アメリカの連続活劇や日本の尾上松之助、…

『ぼくの特急二十世紀』

街路樹のナツメの木に小さな花が見られた。赤い実が毎年鈴なりになる。 クマノミズキには白い小さな花が密集して咲いていた。 熊野水木(くまのみずき) ミズキ科の落葉高木。葉は対生し、卵状長楕円形で裏側は白色を帯びる。六、七月ごろに白色の小花を密集…

小説「三の隣は五号室」のこと

タチアオイが満開になった。タチアオイの背の高さは人の背ほどある。 立葵(タチアオイ)という植物名はその姿形をよくあらわしている。 花びらの色が鮮やかだ。 アオイ科の越年草。高さ約二メートル。葉は心臓形で浅い切れ込みがある。花茎は長く、梅雨のこ…

コサギと100年の文学宇宙

干潮の水辺に一羽の白い鷺(さぎ)がいた。 近づいても逃げる様子はなく、数メートルの距離まで近寄った。 鳥は水中のえさ探しに夢中でゆっくりと場所を移動している。 頭のうしろからの冠羽が垂れている。コサギのようだ。 サギ科の鳥。全長六〇センチ。全…

どくだみと川端茅舎

晴れる。最高気温29℃、最低気温21℃。 ドクダミの花が咲く季節になった、 テレビの天気予報で、女性の気象予報士が季節の植物をめぐって、ニュースキャスターの男女二人に尋ねていた。 「ドクダミの花はどの部分でしょうか?」 一人は、「白いところでし…

閉店セール

二年前に開店した「古本交差点」が、31日に二年間の店舗営業を終了するという。 古書あやかしや、神鳥書店、岩書房、スマイルブックス、天馬書林とマハ、古書ひろしま文庫の複合書店である。常設の店舗で手にとって見られるのが今月で終わる。 店舗営業は…

蛙(かわず)の目肥えて漣又(さざなみまた)さゞなみ

晴れる。最高気温28℃、最低気温18℃。 風がさわやかに感じられる。乾燥している風のせいだ。 公園の睡蓮と蓮(はす)の池に寄った。池は静かだった。 蛙(かえる)の声が聞こえて来なかったからだ。 池を見回しても一匹も姿を見かけなかった。空気が乾燥…

ありきながら桑の実くらふ木曽路かな

桑(クワ)の木に実が熟していた。樹下に落下した実が見られた。 背は高く、鬱蒼(うっそう)と葉が茂っている。大きな葉だ。 「ありきながら桑の実くらふ木曽路かな」 正岡子規の明治二十八年の俳句です。 クワ科クワ属の落葉高木の総称。ヤマグワ、カラグ…

『政岡憲三とその時代』を読む3

萩原由加里著『政岡憲三とその時代』を読む。 第3章 「トーキーは映画を変える」で、「日本における漫画映画のトーキー化」の事情にふれている。 レコード式トーキーからフィルム式トーキーに移行する時代の考察が展開される。 二〇年代から活動をはじめて…

『政岡憲三とその時代』を読む2

続けて、萩原由加里著『政岡憲三とその時代』を読む。 政岡は美術監督、監督、役者、カメラマンと劇映画の世界で職を転々としては挫折していた。 新しい道を探さざるをえなくなり、政岡が目をつけたのが漫画映画だった。 《一九三〇年八月、政岡は京都の北野…

『政岡憲三とその時代』を読む

『くもとちゅうりっぷ』(1943年、松竹動画研究部、15分、白黒)の監督・政岡憲三をめぐる萩原由加里著『政岡憲三とその時代』を読んでいる。 副題が、「日本アニメーションの父」の戦前と戦後。 はじめに 第1章 美術とアニメーション 第2章 映画の…

萩原由加里著『政岡憲三とその時代』のこと

快晴でさわやかな風が吹き、空気が乾燥している。最高気温27℃、最低気温14℃。 クローバーの白い花畑にミツバチが飛ぶ。 昆虫が活発に活動する時期を迎えた。 2013年12月に、「蘇ったフィルムたち〜東京国立近代美術館フィルムセンター復元作品特集…

映画『間奏曲はパリで』に登場する本

先日、公開中のマルク・フィトゥシ監督・脚本の映画『間奏曲はパリで』(2014年、フランス、99分、カラー)を観た。原題、La Ritournelle。 出演は、イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン。 ノルマンディーで牛を飼っている畜産農家の夫…

駄馬つづく阿蘇街道の若葉かな

前日は雨のち夕方に回復して晴れ上がった。 今日も快晴で朝は13℃、昼は26℃まで気温が上がる。 雲ひとつない五月の晴れ間で風が乾いてさわやかだ。 公園の葉桜のあちこちに赤い実がぶら下がっている。 小さなサクランボウ(桜ん坊)が青葉に包まれている…

高山宏完全新訳『不思議の国のアリス』

「新刊展望」2015年5月号の「エディターの注目本ガイド」に、亜紀書房の編集者・小原央明さんがルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の高山宏さんによる今回の翻訳について編集者として述べている。 《訳文はアリス論の傑作『アリス狩り』(青土社…

俳優の山口勇のこと

歩道に沿って三つ葉のクローバーが咲いている。 広々とした一面のクローバーの白い花畑である。 あちこちと蜂が飛び回っていた。近寄って蜂を観察する。 膜翅(まくし)目ミツバチ科の、主にミツバチ属の昆虫の総称。体には毛が密生し、花粉や花蜜を集める。…

蔦の芽の風日にきざす地温かな

5月6日は、二十四節気のひとつ立夏である。 青葉の香りを漂わせた気持ちのよい風が吹く。晴れている。 歩道脇のクローバーの群生地にハルジオンが咲いていた。 花に蜂が飛び回っていた。 「軒菖蒲庭松花をそろへけり」 飯田蛇笏の俳句で、昭和十二年(19…

「未来を捨てる」

『わたしのこだわり――仕事・モノ・コト・人生の流儀』という本は三十人のエッセイをまとめた本である。 川本三郎「禁止事項を作る」の他に、池内紀「I・O体操」、原武史「団地めぐり」、内山節「未来を捨てる」などを読む。 内山節「未来を捨てる」に、 《今…

春暑くうす雲まとふ深山かな

快晴、気温が上がる。最高気温27℃、最低気温15℃。空気は乾いている。 夕方の日没の西の空に、金星が明るく輝いていた。月は東の空に金星と同じく高度40度で眺められた。宵の明星の金星が輝き、日没の空に目立っている。 「春暑くうす雲まとふ深山かな」…

日本語に主語はいらない

『わたしのこだわり――仕事・モノ・コト・人生の流儀』は、『図書』二〇〇六年六月号から二〇〇八年十二月号に連載された三十人のエッセイをまとめた本である。 「禁止事項を作る」というタイトルで川本三郎さんが書いている。 、ものを書くようになったのは…

山藤の雲がかりしてさきにけり

曇り、最高気温24℃、最低気温15℃。空気が乾いている。 藤棚に垂れ下がった紫色の藤の花が満開になった。 ツツジも満開で咲き誇っている。 マメ科の蔓性(つるせい)の落葉低木。山野に自生し、つるは右巻き。葉は卵形の小葉からなる羽状複葉。五月ごろ、…

座談会から

「文學界」2015年5月号が総力特集「映画の狂宴」で、蓮實重彦、青山真治、阿部和重の各氏による座談会「映画三狂人、アメリカ映画を大いに語る」にウェス・アンダーソン監督を取り上げていた。 一部引用すると、 阿部 最近のアメリカ映画で、「これだ」…

春老ひてたんぽゝの花吹けば散る

道端のタンポポの花の種が、風に吹かれて飛び去ろうとしている。 「春老ひてたんぽゝの花吹けば散る」 正岡子規の明治二十六年の俳句である。 もう一句、「蒲公英やボール轉げて通りけり」 この句は、明治三十五年(1902年)の句、「轉げて」は「転げて…

アシュレイ・モンターギュ著『ネオテニー』のこと

新刊の尾本恵市著『ヒトはいかにして生まれたか』で、アシュレイ・モンターギュにふれていた。 アシュレイ・モンターギュの本で面白かったのが、どうぶつ社から出た翻訳本である。 『ネオテニー』というタイトルの本ですが、これを購入したのは、NHKのラジオ…

葉櫻はつまらぬものよ隅田川

20日、曇る。二十四節気のひとつ穀雨であった。穀物をうるおす春雨という意味のようです。 22日、快晴で最高気温22℃、最低気温10℃。風が乾いているのでさわやかだ。 ツツジが満開の季節になった。桜はソメイヨシノが葉桜になる。 「葉櫻はつまらぬも…

阿部豊監督の映画『細雪』

4月は女性が主人公であったり、重要な役割を占める作品が、「特集・文芸映画のヒロインたち」と題して映像文化ライブラリーで上映された。その中の一本。 阿部豊監督の映画『細雪』(1950年、新東宝、白黒、141分)を鑑賞。 昭和25年5月公開映画…