2007-01-01から1年間の記事一覧

これは、事件だ。中村宏「図画事件1953−2007」

朝から蝉が鳴きだす。蕪村の句に、 半日の閑(かん)を榎(えのき)やせみの声 明和三年六月二日の句である。 中村宏の「図画事件1953‐2007」の展覧会チラシが、知人から届く。ありがとう。 名古屋市美術館で開催中。七月二十一日〜九月十七日まで。…

マッカーサーを叱ったもうひとりの男

朝、八時十五分にサイレンが鳴る。一分間の黙祷。 NHKの番組で、「その時歴史が動いた」があるが、「マッカーサーを叱った男 〜白洲次郎・戦後復興への挑戦〜」というタイトルの番組を昨年(2006年)見たことがあった。 そのマッカーサーを叱った男が、…

動く葉もなくておそろし夏木立

午前五時半、南の空に高く、半月を見る。明日は下弦である。 夕方、蝉の声が樹木から降り注ぐ中を公園の池に寄り道した。ハスのつぼみが、葉と葉の間からにゅーっと、あちこちに伸びている。 蛙の鳴き声も池から聞こえて来る。 トンボが、ハスのつぼみにとま…

靉光 戦時下の自画像

正午過ぎには、昨夜から今日にかけての台風五号の風も弱まってきた。 うだるような暑さである。園芸店で中国野菜の苗を買う。 蕪村の句に、「居(すわ)りたる舟に寝てゐる暑さかな」。 夜、NHKテレビの「ふるさと発スペシャル」で、「時代を見つめる“眼”」 …

トクヴィルのこと

七月三十一日付けの「小栗康平・内山節の往復書簡」を読む。 うーむ。十九世紀のフランスのトクヴィルの『アメリカの民主主義』について、内山節の本でも述べられていたが、その見方が、なるほどねと納得するところがあった。 そのトクヴィルをめぐって、宇…

勝川克志の『庄太』のこと

燕の幼鳥が地面に落ちていた。どこからか飛んで来たらしい。それに気づいた人が、拾って樹木の枝に止まらせていると、親鳥の燕がやって来ていて、少し離れた軒先の上にとまっていた。 すると、猫が一匹、忍び足で幼鳥のつかまっている枝の下へやって来た。そ…

薫風やともしたてかねついつくしま

早朝から蝉の鳴き声が聞こえる。アブラゼミ、クマゼミの鳴き声が混じっている。 街路樹のザクロの木には果実が、もう実っていた。 今宵は満月だが、夕方にはまだ昇っていなかった。 宮島の管弦祭に参拝客として出かけた人からお土産に、博多屋のもみじ饅頭を…

寒川鼠骨のこと

松山巌の『手の孤独、手の力』(中央公論新社)で、「Ⅵ 友情の水脈」の章から「子規の水脈」と「ツキのない男の情」を読んだ。 一読、ちょっと山田風太郎の「明治物」と呼ばれているジャンルの小説の魅力に近い感想を持った。 正岡子規没後、子規全集を編纂…

十三夜の月

通りの歩道に沿って、カヤツリグサが生えていた草地があったが、すっかり刈られていた。そばに、カンナの花が群生している。オレンジ色である。短くなった草地から草いきれがする。 夕方、十三夜の月を眺める。木星が月の右手上に明るく光っていた。蕪村の句…

養老孟司の『小説を読みながら考えた』を読む

朝からアブラゼミが、鳴きやまず。正午ごろに、一時的に静かになる。 夕方の月を眺めれば、明日が十三夜の月が南南東の空に昇っている。その右手上には木星が輝いていた。 通りに植えられているナツメの木に、実が鈴なりであった。まだ、色付き始めてはいな…

堂守の小草ながめつ夏の月

七月二十三日は、二十四節気のひとつ大暑であった。 一年のうちでもっとも暑さのきびしい頃である。今日、最高気温は三十三度近くまで上昇する。 通りに街路樹があり、草むらが広がっているところがある。カヤツリグサが群生して、風に吹かれてゆれていた。 …

翻る蝉の諸羽や比枝おろし

やっと、梅雨明け宣言が出た。青空で朝から蝉の鳴き声が聞こえて来る。 街路樹にアブラゼミがいた。そばに近寄って眺める。蕪村の句に、 翻(ひるがへ)る蝉の諸羽(もろは)や比枝(ひえ)おろし*1 安永四年五月二十一日の句である。 毎月、最終月曜日にあ…

新日曜美術館「生誕100年 靉光展」

NHK教育テレビの「新日曜美術館」で、「靉光 時代の自画像」と題した番組を観る。ゲストに大井健地、寺田農のお二人が出演。 「生誕100年 靉光展」という展覧会の作品をめぐる興味深い話が聞けた。靉光の妹さんが話される兄のエピソードもあった。以前、…

ジブチ生まれの赤ん坊のこと

電車に乗り込んで空いていた席に座ると、目の前にベビーカーに赤ん坊が一人座っている。もぞもぞ動いている。 目と目があった。すると、右隣に赤ん坊の男親がいて、にっこり顔を向けてきた。私が「男の子?」と言うと、男は「サーシャ!」と女の子の名前を言…

大仏のあなた宮様せみの声

昨日の夕方、久しぶりに西の空に月と金星が見えた。 三日月と金星が接近して輝いている。イスラム諸国の国旗に見られる月と星のデザインに似ている感じがする。高度は、金星がやや下がって来ていて、二〇度ほど。 それにしても、空が澄み切っているからか、…

飛石も三ッ四ッ蓮のうき葉哉

新潟でまた地震だ。NHKラジオの「鎌田實 いのちの対話」で、「死に方上手」と題した中継の番組を聴いていたら途中で地震が発生。出演者は鎌田 實、山折哲雄、嵐山光三郎、加藤登紀子で、司会は村上信夫アナウンサー。被害がなければ良いが・・・。 今日の蕪…

新宮晋の『ことり』

台風四号の影響で日中の風は強かったが、雨は少なかった。夕方に曇り空になり、夜半に晴れ間も見えるのだった。ゆっくり雲は東の方から西へ移動してゆく。 今年初めて、十一日に蝉の鳴き声を耳にする。 先週、池で見かけたトンボを調べてみるとナツアカネの…

白蓮を切らんとぞおもふ僧のさま

梅雨空で降ったり止んだりだったが、夕方に晴れ間が見えた。暮れてから夜半に雨になる。 雨上がりの公園の池に寄り道。ハスが一輪咲いていた。うーむ。見事だ。蕪村の句に、「白蓮(びゃくれん)を切らんとぞおもふ僧のさま」。 明和五年五月十六日の句であ…

つくばふた禰宜でことすむ御祓哉

カンナの花が咲いて、花びらに雨粒が残っている。レモン色とオレンジ色の二色の模様が鮮やかだ。 カンナ科の多年草。高さ一〜二メートル。葉は広楕円形で、下部は鞘(さや)になる。夏から秋にかけて紅・黄・白色などの大きい花を総状につける。中南米の原産…

ラジオ深夜便で「自然に親しむ」を聴く

七月七日は、二十四節気のひとつ小暑である。 暑さが本格的になる時期という。 街路樹にツバキの木がある。近寄って枝を見ると、実が生(な)っていた。ツバキの果実である。大きさや形は小さな柿といったところだ。 触ってみると堅いし、つやがある。蕪村の…

三井寺や日は午にせまる若楓

昨日のネムノキに舞っていた蝶。アゲハチョウの仲間でキアゲハに似ているが、ナミアゲハのようだ。 ①アゲハチョウ科のチョウ。翅(はね)の開帳八〜一二センチ、黄色に黒色のすじや斑点がある。幼虫はミカン・サンショウなどの葉を食べ、柚子坊(ゆずぼう)…

羅に遮る蓮のにほひ哉

街路樹のネムノキに アゲハチョウがいた。花から花へと飛び回っている。一箇所に長くとどまらないで、あちこちのネムノキの花を訪れている。 公園の池に、ハスの花が一輪咲いている。緑に包まれた一帯で、白いハスが目にも鮮やかだ。蕪村の句に、 羅(うすも…

森岡まさ子さんとマッカーサーの話

梅雨の中休み。池に寄り道する。ハスの花が散って、花のあとの花托(かたく)が大きくなり、逆円錐状でハチの巣のようになっている。ハスの種が穴から顔をのぞかせていた。 蕪村の句に、 吹壳(ふきがら)の浮葉にけぶる蓮見(はすみ)哉 明和五年六月二十五…

映画『サン・ジャックへの道』のこと

雨のあがった公園の池に寄り道する。ハスの葉に丸く水銀のような水滴が残っていた。葉が伸びて密集しているので、水面が見えない所もあった。 映画館へ行く前に、老舗書店に寄り『図書』2007年7月号をもらう。 サロンシネマ1で、『サン・ジャックへの…

みなづき、京のお菓子

ムクゲの花が咲いている。白に淡紅色がほんのり混じった花が目に鮮やかだ。蕪村の句に、「祗園会や真葛原(まくずがはら)の風かほる」。 真葛が原とは、東山山麓の台地。歌枕とある。 京都の六月というと、三十日に夏越(なごし)の祓(はらい)で、神社で…

ところてん逆しまに銀河三千尺

晴れて梅雨の中休みといったところであるが、風があっても蒸し暑い。 ところてん、葛切りを冷やして食べたくなる。 蕪村の句に、 ところてん逆(さか)しまに銀河三千尺 安永六年の句である。 書店に寄り、『本の話』、『青春と読書』、『本の窓』、『新刊展…

「シモーヌさん」のclou

二十三日、老舗書店で『新刊ニュース』、『本』2007年7月号をもらう。岩波の本のコーナーで文庫新刊を見ていると、ジョイスの『若い芸術家の肖像』(大澤正佳訳)があった。 冒頭や巻末の訳者解説を読んでいると、ジョイスの墓がスイスのチューリッヒに…

ラジオ深夜便「読書で豊かに」

晴れて日差しが強く、暑い日である。 橋を渡っている途中、川面(かわも)に魚が飛び上がっていた。大気中に姿を見せて、白い脇腹をひねって水中に戻った。 その直後、少し離れた滑らかな水面からも魚がとび出して跳躍遊びをしているかのようだった。ぴよー…

「新・話の泉」を聴く

夜、NHKラジオで「新・話の泉」を聴いた。 出演は立川談志、山藤章二、毒蝮三太夫、嵐山光三郎、松尾貴史で、司会が渡邊あゆみアナウンサーである。 質問を渡邊あゆみさんがして、その質問に答えるという番組なのだが、面白い。 始めにオタクぶりを披露して…

「新日曜美術館」パルマ もうひとつのルネッサンス

午前、NHK教育テレビの「新日曜美術館」で「パルマ もうひとつのルネッサンス」と題した番組を観た。 今、国立西洋美術館で開催されている展覧会についての番組である。 ルネッサンスの頃、イタリア北部のパルマで天井画を描いた画家コレッジョとパルミジャ…